日刊スポーツのサッカー担当記者が独自の視点で掘り下げる「Nikkan eye」。今回は9日のキリンチャレンジ杯エルサルバドル戦で、史上2番目の若さでA代表デビューしたMF久保建英(18=FC東京)の今後に目を向ける。

14日に開幕する南米選手権(ブラジル)は、22年W杯カタール大会を目指す日本代表の戦力になれるかどうか、その試金石となりそうだ。

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森保監督の決断は正しかった。このタイミングで、初めて自身が率いるチームに久保を組み込んだ。後半途中出場ながら、久保はいつも通りのプレーを見せて起用に応えた。そしてオリンピック(五輪)世代18人で臨む南米選手権を控える。招集に拘束力がなくチーム編成に苦労したが、この南米選手権の方が相手は手ごわい。その前に、久保にA代表の舞台を経験させたいという考えが、キリンチャレンジ杯での選出を後押ししたと言える。

久保の招集には、南米選手権の他にもう1つ選択肢があった。U-20(20歳以下)ワールドカップ(W杯)ポーランド大会。南米選手権より、優先すべき大会だと考えていた。U-20W杯は、いわば若手の見本市だ。実際に、17年大会を節目にMF堂安はフローニンゲンに移籍した。また、優勝したイングランド代表FWソランケは大会後に名門リバプールに移籍し、同年11月にはブラジルを相手にA代表デビューも果たした。

15歳で挑戦した前回大会とは違い、エースとしてブレークも望めるタイミング。A代表で控えに甘んじるより、プレー機会を増やし、自らの価値を高めるためにも、U-20W杯への出場が最適だと思っていた。

宮城の地で、その見方を覆された。18歳はA代表でも遜色なくプレーできる実力を示した。本人も「南米選手権ではゴールを決めたい」と力強く語るほどに手応えをつかんでいた。また、キリンチャレンジ杯と南米選手権を合わせれば期間は約1カ月。森保監督のもとで長く活動できる機会は貴重だ。

エルサルバドル戦を境に、久保への期待は東京オリンピック(五輪)のさらに先にある、22年W杯カタール大会へ向いた。森保監督には今後もA代表に招集し続けてほしいが、9月にはW杯予選が迫っている。「親善試合とは緊張感が違う」とMF柴崎が話すように、出場権がかかった緊張感の中で、戦力になれるか。南米選手権がその試金石だ。

「びびっていてはもったいない」の言葉通り、エルサルバドル戦のような動きを見せられるか。今回のA代表招集が吉だったかどうかは、ブラジルでのプレーにかかっている。【岡崎悠利】