サッカー日本代表が戦うアウェーの地とは、どんなところなのか? ピッチの上だけでなく、さまざまな環境への対応が求められる。森保ジャパンを追い、6日からミャンマーで過ごしている日刊スポーツ記者が、現地の様子をルポした。

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サッカー担当として、初めての海外出張がミャンマーになった。DF長友ら百戦錬磨の代表選手ですら“アジアの戦いは厳しい”と言っていた。そんなアウェーの“洗礼”を、記者もいきなり浴びた。事前取材のため、日本代表より1日早くミャンマー入りの予定だった。バンコク経由でヤンゴンへ…のはずが、目的地の空港で軍用機のアクシデントがあり飛行機が欠航。バンコクで1泊することになった。軍民共用空港のあるミャンマーならではのこと。1日違えば、森保ジャパンがこの憂き目に遭っていたと思うとぞっとする。

街を歩けば、大きな野良犬がゴロゴロいる。こちらから近づかない限りかまれることはないが、狂犬病は発症したら致死率ほぼ100%。目が合うだけでも恐怖を感じた。ミャンマーリーグで7期目を過ごす日本人MF松本憲は、かつて水道水で歯を磨いたら歯茎が腫れてからは万全を期してミネラルウオーターに変えたと教えてくれた。記者もコンディションを崩せない。助言に従い、万全を期した。渡航前には5種類のワクチンを接種。蚊に刺されるだけで日本脳炎やデング熱などの恐れがあると聞いたからだった。蒸し暑い中、長袖が必須だった。

連日、夕方にはスコールが降った。MF久保は「暑いより良い」と言ったが、練習後に引き揚げた選手はびしょびしょでタオルにくるまっていた。ミックスゾーンでは雨の音で選手の声が聞こえない時もあった。ぬかるんだピッチの外でも、アウェーならではの“戦い”があった。日本は今後、タジキスタン、キルギス、モンゴルを回る。最終予選では中東にも行くことになるだろう。国によって文化や気候が大きく異なる。

アジアの戦いは、甘くない。森保監督が言うように「なんでもあるある」と覚悟し、冷静かつ柔軟に対応することが求められると痛感した5日間だった。【杉山理紗】