日本代表を取材する担当記者が独自の視点で分析する「Nikkan eye」は「修正力」から、オランダ遠征2試合に切り込む。

2試合とも守備の時間が長かった。約10カ月ぶりの日本代表戦。ファンは、ガッカリしたに違いない。しかし、1つ分かってほしいことがある。アジアで今回の代表活動期間に、国際Aマッチを実施できた国は、そう多くない。しっかり試合ができて、しかもその相手が念願のアフリカ勢なら、テストマッチとしてはこれ以上ない収穫だ。

日本の強みは? と問われると、私はちゅうちょなく「修正力」と答える。今回の代表戦は国内開催を最優先に考えて進めたが、コロナ禍で厳しかった。別の路線を同時進行で模索したため、実現できた。国内不可の結論が出てから、日本協会の修正は素早かった。国内実施にこだわって押し通そうとしたら、今年はまだ、青いユニホームがピッチで躍動することはなかっただろう。

試合でも修正力が生きた。初戦のカメルーン戦。前半は行き詰まったが、後半にMF伊東が入り、サイドから活路を見いだした。2戦目のコートジボワール戦。前半はやや日本優勢で、後半開始から相手はシステムを変えてきた。日本はうまく対応できずに攻め込まれたが、10分後には再び主導権を握り返した。

世界レベルの相手に、残念ながら日本はまだ個で対抗できるほどの力はない。知恵を絞って、連動して微妙な修正を加えながら相手の長所を消す努力をして可能性を探ってきた。2試合とも守備的な戦術を取ったが、これは仕方ない。守備を固めつつ、相手の出方をみた方が、修正できる余地があるからだ。

欧州組が増え、彼らにかかる期待は大きい。しかし冷静に考えると、ビッグクラブ所属選手はMF南野くらいで、チームで不動のレギュラーという選手も少ない。残留を争う中小クラブや主要リーグ以外、さらに2部クラブなどでポジションを取った選手がいるだけ。今の戦力で再び世界で16強に進み、未知の8強に足を踏み入れるには、修正力を最大限に生かして、少しの運を待つしかない。

それらは、守備がしっかりしていることが大前提。代表のピッチで再びボールが転がりだして、修正力と守備の確認ができただけでも、今回の2試合は十分、価値がある。【盧載鎭】