森保ジャパンが泰然自若の構えで勝ち点3を取りにいく。11日にアウェーでW杯アジア最終予選のベトナム戦(ハノイ)を迎える。DF吉田麻也(サンプドリア)やMF南野拓実(リバプール)ら海外組11人を乗せたチャーター機の到着が遅れ、全体練習は試合前日の1度だけという異例の事態にも森保一監督(53)に動揺はない。チーム発足からさまざまなトラブルを経験してきたこともあり、想定外の出来事は織り込み済み。上位浮上へ勝ち点6を狙う11月のアウェー2連戦、まずはベトナムをたたく。

ベトナム戦を前に記者会見する森保監督=ハノイ(C)JFA
ベトナム戦を前に記者会見する森保監督=ハノイ(C)JFA

指揮官の表情はいつもと変わらなかった。「個々の役割を明確にして組織的に戦えるように。練習は2回、全体練習は1回のみだが、合わせられるように」。吉田主将ら主力の多くを乗せたチャーター機が到着遅れというハプニングにも動じることなく、最善を尽くすことだけに集中する。

遅れて到着した11人のコンディションにはばらつきがあるものの「プレーできるということで考えたい」と、起用に大きな支障はないとの見方を語った。前日練習で状態を見極めることを前提としつつ、「練習はできなかったが、疲労が取れたことは前向き。しっかり回復してくれれば普段通り力になってくれる」。

ベトナム戦を前に記者会見する森保監督=ハノイ(C)JFA
ベトナム戦を前に記者会見する森保監督=ハノイ(C)JFA

18年7月の森保ジャパン発足から、さまざまなアクシデントに見舞われてきた。初陣だった同年9月、北海道での活動中に北海道胆振(いぶり)東部地震が発生し、チリ戦が中止となった。続く同年11月の大分では、ベネズエラ戦当日にチームバスが渋滞に巻き込まれ、到着が試合開始の40分前となった。今回の最終予選でも、第2戦の中国戦(ドーハ)前には新型コロナウイルスの検査結果が出るのが遅れ、練習を行えなかったこともあった。

ここ2年のコロナ禍も含め、数多くの想定外に直面してきた。その経験もあって森保監督は「こういうアクシデントや想定外に起こるピンチを乗り越えて勝っていかなければいけないと常日頃から思っている」と動じない。準備の1つとして、今回は通常より5人多い28人を招集しており、ベンチ入りの23人を選ぶのも余裕を持たせている。

日本代表メンバー
日本代表メンバー
W杯カタール大会への道
W杯カタール大会への道

ここまで4戦を終えて2勝2敗でB組4位。W杯出場が確定する2位以内に入るためには、アウェーでも勝ち点3が求められる状況だ。9月、10月と続けて初戦で敗戦しているだけに「反省を生かし、勝利できるよう準備をする」ときっぱり。勝利を逃せば再び責任問題が噴出しかねない。そんな状況で起きたアクシデントにも、泰然自若と勝利をつかみにいく。【岡崎悠利】

森保ジャパン過去の想定外の出来事

◆18年9月 初陣のはずだった国際親善試合チリ戦(札幌)に向けた活動中に北海道胆振東部地震が発生。試合は中止を余儀なくされ、実戦の場を失った。

18年9月7日付の日刊スポーツ紙面
18年9月7日付の日刊スポーツ紙面

◆18年11月 国際親善試合ベネズエラ戦(大分)で、試合当日にスタジアムに向かうバスが渋滞に巻き込まれた。警察の先導に入るも、到着はキックオフ1時間半前の午後6時予定から48分遅れた。

18年11月17日付の日刊スポーツ紙面
18年11月17日付の日刊スポーツ紙面

◆19年6月 南米選手権(ブラジル)の1次リーグ第2節ウルグアイ戦で試合会場へ移動中、使用していたバスが故障。別のバスに乗り換えた影響で到着が予定よりも約30分遅れた。

◆21年6月 東京五輪に臨むU-24日本代表が北海道から福岡へ移動する際、暴風雨で飛行機が飛ばず。オーバーエージで参加していたのDF吉田らの案で、空港内でテレビを使用して映像のフィードバックを行うなど対応を迫られた。

◆21年9月 W杯最終予選・中国戦の開催地ドーハで、コロナ検査の結果が出るのが遅れ、予定していた練習が行えなかった。