「やっぱサイドの選手は仕掛けてナンボですよ」。サッカー日本代表が辛勝したW杯アジア最終予選のベトナム戦(ハノイ)に、DAZN(ダゾーン)の解説で登場した元日本代表MF松井大輔(40=Fリーグ・YSCC横浜)は、うなずくように言った。

11日のベトナム戦に1-0で辛勝した日本代表は、12日午前6時(日本時間午前11時30分)ごろ、オマーン・マスカットへ降り立った。次戦は16日。苦汁をなめた相手とのリベンジマッチ。脳裏によみがえるあのシーン。9月2日。日本はホームで0-1で敗れた。後半43分、右サイドからのクロス。ニアで合わせられた。W杯最終予選の初戦を黒星発進。屈辱の日から、2カ月がたつ。

サイドで泣いた。今度はサイドで笑う。ベトナム戦には、次への兆しがあった。前半17分。大迫のポストプレーから南野が、左サイドを抜けだした。サイドを深く持ち込み、中央の伊東へグラウンダーのクロス。先制点を奪った。

追加点は奪えなかったが、“雰囲気”は出ていた。1点リードの後半ロスタイム。途中出場の古橋はペナルティーエリア内の右でボールを受けると、相手を背負いながら、クイッと中に切り込んだ。抜き去る前に、相手のタイミングを外したクロス。中央の浅野には合わなかったが、松井は「今の古橋君いいですね。相手の逆を突いていくのは、読まれにくい」と称賛した。

今回の最終予選は、セットプレーからの得点はない。メンバーを見渡しても、絶対的なキッカーは不在。だからこそ、サイドからの攻撃をより精度を上げ、より効果的にすべきだと思う。松井大輔の言葉は、何げない解説では終わらない。日本代表に対して、次へのヒント、今後の戦い方を指南しているようにも聞こえた。【栗田尚樹】