日本サッカー協会(JFA)の臨時理事会が15日に行われ、東京・文京区に保有している自社ビル「JFAハウス」を売却することが決定した。

終了後に取材対応した同協会の須原清貴専務理事が「近日中に、三井不動産レジデンシャル株式会社と売買契約を結ぶ」と話した。売却金額は非公開だが、須原専務理事は「100億円を超える売買契約になる」とした。

日本サッカーの本丸ともいえる、JFAハウスには、偉大な先人たちの思いがたっぷり詰まっている。長くサッカーを担当する記者が、その重みについて書いた。

 

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JFAハウスには、サッカー界先人たちの思いが詰まっている。長年の仮住まいから、ようやく03年に自社ビルの夢がかなった。当初、80億円で売りに出ていたビルを「ローンを組まず、現金で払う」と交渉し、55億円+税金など諸経費5億円の60億円で購入した。サッカーミュージアムをつくりたかったため、地下に大きな展示場があった同ビルは最適だった。

購入資金は、02年ワールドカップ(W杯)日本組織委員会(JAWOC)がW杯の黒字から割いた約30億円と、日本サッカー協会がW杯が赤字になった場合に備えた貯金約30億円から。JAWOC解散後、諸権利すべてが日本協会に渡った。

当時の川淵三郎会長は職員を集めて「このビルを実際に見ることのできなかった先輩がたくさんいる。今まで日本サッカー界のために尽力した方々のことを考えると、申し訳なくてオレは1階の正門玄関は使えない」。相談役となった今でも、正面玄関は使わず、いつも地下の駐車場出入り口を使用する。車を使わない日も、地下から外階段を利用するほどだ。【サッカー担当=盧載鎭】