コロナ禍で迎えるサッカーのW杯カタール大会(11月21日開幕)。4月1日の組み合わせ抽選会を控え、ドーハの街はどんな様子なのか? 現地入りした本紙記者がその熱気を報告する。

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「ワカワカ イエーイエー! ディス タイム フォー カメルーン!」

W杯公式カウントダウン時計が置かれた広場の前で、手拍子とともに野太い歌声が聞こえてきた。10年南アフリカ大会の公式ソング「Waka Waka」をカメルーン風にアレンジした陽気な歌。もう試合並みに盛り上がってる…と思って目をやると、日本ではまだ見ない光景に少し驚いた。ほとんどの人が、マスクをしていない。

この広場でW杯出場国の旗揚げ式が行われた30日。サポーター代表が集まって、自国の国旗が掲げられる瞬間を思い思いに盛り上げた。日差しは強いが、さわやかな風が吹くドーハの昼すぎに、W杯を心待ちにする楽しげな声が響き渡っていた。

イベントの参加者だけではなく、周りにいた各国のメディアもほとんどマスクをしていない。取材が行われるミックスゾーンでは、皆がぎゅうぎゅうになって並んだ。コロナ禍前には日本でもおなじみだった光景を、世界は先に取り戻しているのかもしれない。

もちろん、その分対策もしっかりされている。カタールへの渡航者は、検査やワクチン情報が反映される専用のアプリをダウンロード。ホテルやショッピングモールに入る際にはその画面を提示している。

それでも雲1つない快晴も相まって、ドーハは開放感にあふれていた。近代的なビルと伝統的な建物が融合し、夜はカラフルにライトアップされる。約8カ月後には、もっとたくさんのサポーターの歌声が響いていたらいい。【磯綾乃】