4980人。新しくなった国立では過去最多6万4922人で埋まった20日のパリ・サンジェルマン-川崎F戦とは対照的な寂しすぎる数字だった。東アジアE-1選手権の香港戦(19日、カシマ)の観客数だ。日本代表とはいえ、招集時に海外組はいない。格落ちのメンバーで、相手もはるか格下の香港。仕方ない面もあるが、日本代表戦で5000人を切ったのは、昨年9月のW杯最終予選のオマーン戦(4853人=吹田)以来。オマーン戦はコロナの影響で最大5000人の人数制限がかかっており、香港戦は実質、過去ワーストだった。

思えば、ベストメンバーがそろった6月2日のパラグアイ戦も4万2000人収容の札幌ドームに2万4511人。4日後のブラジル戦(国立)は6万人以上の観客が駆けつけたが、ブラジル代表のユニホームを着たファンが目立った。試合の翌日、GK権田は「みんな、ブラジルを見に来ていたんだなというのが悲しくて」と苦笑いしたが、この発言は一部で代表人気の低下の指摘を受けた。

日本代表は7大会連続W杯出場を決めているが、人気は停滞気味。絶対的なスターが不在。森保監督は常に日本サッカーの将来を考えて行動し、指導しているが、ファンを魅了する言葉の発信力が豊富とはいえない。一方で、香港戦の前日(18日)秩父宮ラグビー場で開かれたパリ・サンジェルマンの練習には有料観衆が1万3000人を超えた。メッシ、ネイマール、エムバペらを見たさに4000円を超えるチケット代を払って多くのファンが集まった。

日本代表戦ならお客さんが入るのは今は昔。相手が弱かったり、日本代表でも実質格下のメンバーならサッカーファンの関心は高まらない。であれば、パリ・サンジェルマンと対戦する川崎F、浦和、G大阪の選手は日本代表に招集しない方が良かったかもしれない。DF谷口(川崎F)らが香港を完封するより、メッシら恐怖のトライアングルを止めた方が、もっといいアピールになったし、話題性も高まったのではないだろうか。