一滴の水も漏らさない。そう表現したくなる鉄壁の守りだった。相手にボール保持されることを割り切り、守備ブロックを敷いてカウンターに徹する-。戦い方は意思統一されていた。

意表を突く池田監督の手腕が光った。第2戦のコスタリカ戦から先発5人を変更。23歳のDF高橋を3バックの右で初出場させた。相手のボール保持率は70%近くと圧倒されたが、両ウイングバックを含めた5人でがっちり守り、ボールを奪取すれば素早く前線へ展開。宮沢が、植木が素早くゴールに迫った。前半はシュート3本で3得点。スペインは魔法に掛かったかのように顔色を失った。

この日の4得点で1次リーグ3試合で11得点、守ってはオール完封という強さ。指揮官は「ボールを保持する時間は多くなかったが、効率的に点を取れた。集中力を切らさず戦えている。共通意識の下で、できている。引き続き、高い集中力を持って決勝トーナメントに向かっていきたい」と1ミリの慢心もない。

選手から親しまれる池田監督は、11年W杯優勝監督の「ノリさん」こと佐々木則夫氏同様、人の懐に入るのはお手のもの。今大会の直前合宿中、練習に訪れた少女から好きな飲食店を聞かれると「ギョーザの王○」と返し、周囲を爆笑させた。指導、分析力にもたけており、佐々木氏は「僕のようにダジャレは使ってない。僕だったらあんなきめ細やかなマネジメントはできない」と言うほどだ。

1人に頼ることのないチーム作りがなされてきた池田ジャパン。誰が出てもプレーが徹底されており、同じレベルの戦いができるのが強み。相手が強ければ強いほど、鉄壁の守備からのカウンターが効いてくる。その勢いは決勝トーナメントでさらに増しそうだ。

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