なでしこジャパン(FIFAランキング11位)が、MF宮沢ひなた(23=マイナビ仙台)の大会5点目などでノルウェー(同12位)を3-1で下し、2大会ぶりの8強進出を決めた。宮沢は11年大会で澤穂希がマークした日本人最多記録に並び、得点ランキングの首位を維持。全3得点に絡み、攻撃の中心的な存在としてチームをけん引する。11日の準々決勝では、米国(同1位)とスウェーデン(同3位)の勝者と対戦する。

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宮沢が完全に乗っている。2-1の後半36分、MF藤野がボールを持つと、相手DFの背後を指さしてボールを要求。スピードアップして相手DFを一瞬で追い抜くと、パスを受けて冷静に左足で決めた。試合を決定づける3点目。澤に並ぶ1大会最多の5得点目に「ちょっと頭が追いつかない。ここまで点が取れるとは思っていなかった。シュートシーンもあまり覚えていない。がむしゃらにやっていた結果」とはにかんだ。

スペイン戦で裏への抜けだしから2得点。要警戒のスピードを、わかっていても相手が止められなかった。前半15分には鋭い球足のクロスを入れて先制点となるオウンゴールも誘発し、後半5分の追加点の場面でも絶妙なポジショニングでボールを受けて起点に。なでしこの攻撃に欠かせない存在となっている。

そんなニューヒロインは、3歳上の兄佳汰さんの背中をずっと追ってきた。3歳でサッカーを始めたのも佳汰さんの影響。関東社会人2部の横浜猛蹴などでプレーし、今季から神奈川県3部に参入した久野FCで10番を背負う佳汰さんとは、互いに試合後、反省会を開くのがルーティンだという。「客観的な意見がほしい」とW杯期間中も毎試合欠かさずに行っている。佳汰さんもここまでの活躍ぶりは予想していなかったといい、「スペイン戦後には『できすぎ』って笑っていました。本人も自分が乗っているなっていう感じがあるって言っていました」と明かした。

仙台でプレーする妹が帰ってくると、必ず2人でボールを蹴る。最初はパスをしていても、次第に1対1の勝負になる。「昔は少し力を抜いていましたけど、今は真剣にやらないと勝てない。まあ、勝ちますけどね(笑い)」と兄の威厳を保ち、成長を促す。

スペイン戦後の反省会では「もっとファイトするところを見せてくれ」と注文をつけた。妹は兄の教えを素直に受け止め、ノルウェー戦では最後まで守備に戻って体を張り、走りきった。もう1つ、兄が伝えたことがある。「一番はサッカーを楽しむこと」。その言葉通り、得意の攻撃で躍動。全得点に絡む活躍をみせ、笑顔を満開に咲かせた。

佳汰さんも50メートル6秒ジャストのスピードスター。「兄譲り」の快足は、今や日本の武器となっている。この兄なくしてこの妹なし。試合前には兄に「得点を取ってくるよ」と宣言し、有言実行。準々決勝に向けて「どこが来ても、いい準備をして目の前の相手に勝つだけ。また試合を終えて、みんなで笑い合えたら」。「世界一」という夢に向けて、きょうだいの物語は続いていく。【佐藤成】

◆宮沢(みやざわ)ひなた 1999年(平11)11月28日、神奈川県南足柄市生まれ。3歳で向田サッカークラブで競技を始め、星槎国際高に進学。18年、法大入学と並行して日テレ東京Vに加入。21年にマイナビ仙台に完全移籍。代表では国際Aマッチ27試合9得点。160センチ、48キロ。

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