【済南(中国)2日=鎌田直秀】MF川澄奈穂美(25=INAC)が韓国相手に陽動作戦を仕掛けた。なでしこジャパンは今日3日、ロンドン五輪アジア最終予選第2戦の韓国戦を迎える。タイ戦で先制ゴールを決めた川澄は、INACのチームメートで韓国代表FWチ・ソヨン(20)と同宿先で接触し「私、右サイドバックで先発だよ」と冗談めかしつつ心理戦に持ち込んだ。日本は韓国戦に勝てば、オーストラリア、中国のライバルに対しリードを保ち直接対決に入れる。メンタル面で優位に立てば、試合運びでも主導権を握れる。川澄の行動は、なでしこが総力戦に入ったことを意味している。

 初戦のヒロイン川澄の頭がさえわたっている。同宿のINACの同僚FWソヨンと健闘を誓い合い、何げない会話の中で情報戦に持ち込み、さらっと先手をうった。

 川澄

 ソヨンとはいっぱいしゃべっていますよ。私は右サイドバックで出るって伝えています。「(ソヨンは)えっ、本当に!?」とビックリして、信じちゃっているみたいなんですよね。いつウソだよっ、て明かしたらいいんですかね?

 ソヨンはいたずらっ子で、人懐っこいかわいい女の子なんですよ。

 ソヨンとの会話を思い出しながら、かわいらしく舌をペロッ。FW大野も「本当は私は大嫌いですから」と、報道でソヨンに伝わることを予期し、わざと「大嫌い」宣言。かわいい後輩に“ツンデレ”作戦で動揺を誘った。

 韓国チームの分析も、ぬかりはない。佐々木監督はタイ戦後、宿舎に戻らず中国-韓国戦を視察。さらに、韓国戦の会場、済南オリンピックセンターの芝をチェック。選手はホテルの部屋で、リラックスしながらテレビ観戦した。

 川澄

 センターバックの20番の選手(DF金)がやっかいかも。背も高くて幅もあって、それでも機敏に動いてカバリングがいい。FWとしては一番の警戒選手ですね。ソヨンはめちゃくちゃよい選手ですけど、いつも一緒にやっているので動き方は分かるし、くせもある。それは沢さんも感じていると思いますよ。

 この日、タイ戦先発組はリカバリーに専念し、MF沢、宮間らは約1時間、長い芝のピッチでパス練習を繰り返した。

 川澄

 昨日はよく眠れました。疲れは全然大丈夫ですよ。韓国はこっちが2列目から飛び出すとDFラインに穴ができる。それを促したいし、自分も飛び出したい。

 相手を惑わせ、自分は必勝のイメージをつくりあげた。ヒロイン川澄に大爆発の予感が漂ってきた。