<ロンドン五輪アジア最終予選:日本1-0オーストラリア>◇第3戦◇5日◇中国・山東スポーツセンター

 なでしこジャパンがロンドン五輪アジア最終予選第3戦で難敵オーストラリアを下し3連勝で勝ち点9に伸ばし、ロンドン五輪出場へ王手をかけた。

 ワンプレーで、名誉挽回した。9戦5発の「オーストラリアキラー」としてフル出場した永里優季(24=ポツダム)は、前半から度々訪れたチャンスを決めきれなかった。しかし、FW川澄の決勝点をアシスト。ロンドン五輪出場を懸けた天王山でつなぎの役割を果たした。

 やっと笑顔が飛び出した。後半17分、DF鮫島からのロングフィードがワンバウンドしたところを胸トラップでキープし、左足で川澄の足元へ優しいパス。ゴールが決まると、歓喜する川澄とMF沢の2人に笑顔で抱きついた。「時間と空間の余裕があった。チームのやり方に合わせるという面では、良さが出たと思う」と振り返った。

 ゴールポストも、敵に見えた。前半26分、沢からのパスをDF近賀が胸トラップからパス。ペナルティーエリア内に走り込んだ永里優はボールを足元で受けると、GKとの1対1。決めないといけない絶好の好機だったが、左足で狙ったシュートはポストを直撃し、はじかれた。ラストパスを出した近賀も天を仰ぐ、またとないチャンスを逃した。

 前半9分にも、GKと1対1になりながら、右足シュートを左足1本でブロックされ、先制点を奪えなかった。「ちょっと角度が窮屈だった。意外とGKが前に出ていたので、シュートコースがなかった」と、決定機を外し続けた前半は多くの課題を残した。

 それでも、チームの戦術に合わせ、黒子役に徹し勝利につなげたアシストは光った。女子日本代表初代監督の鈴木良平氏も太鼓判を押した。「後半が良くなったように、使い続けることで力を発揮するタイプ。(次戦の)北朝鮮戦でも、期待できる」と分析した。

 佐々木監督は「チャンスを多く作ってくれたし、しっかりアシストは決めてくれた。体を張ってタメを作ってくれたので、そこはよかった」と評価。本人も手応えを感じ、今後につながるものを感じていた。「周りに(得点を)取らせる割合が大きかった。もうちょっと、今のスタイルでいきます」。アシストもゴールも、狙っていく。