【済南(中国)7日=鎌田直秀】北朝鮮対策に佐々木則夫監督(53)は北朝鮮代表FWラ・ウンシム(23)封じを徹底する。過去に指揮を執っていた08年U-20(20歳以下)女子W杯チリ大会準々決勝で、決勝ゴールを決められるなど因縁のプレーヤー。この日の練習では、紅白戦の控え組に男性スタッフを起用し、160センチと小柄ながら抜群のスピードと技術への対応を確認した。全体練習後も急きょDF陣を集め“ノリさん塾”を開講。DFラインとボランチの距離を縮めて挟み込むことを徹底させた。

 全体練習後、岩清水、熊谷、鮫島、近賀のDFラインに集合がかかった。この日の練習で一貫してきた北朝鮮戦のキーポイントとなるFWラ封じ対策の仕上げは“ノリさん塾”で締めた。足も速く、女子より体格の良い男性スタッフをラに見立て、佐々木監督自らDFラインの動き方を約20分、徹底指導。1人1人に言葉と体で説明しながら細かい部分を微調整していた。

 狙いは2つ。DFラインを高く取り、ボランチとの距離を縮めることで挟み込む。もう1つは裏を積極的に狙う相手へのマークの受け渡しだ。昨年11月の広州アジア大会でも相対した岩清水は「ラインコントロールとプレッシャーのかけ方を反復しました。相手の1・5列目の幅を狭くすれば両方の対策はとれる。前を向いたら面倒な選手なので集中して、とにかくゼロで抑えたい」と意を決した。

 佐々木監督には苦い思い出がある。指揮を執った08年U-20女子W杯チリ大会。準々決勝北朝鮮戦で決勝ゴールを決められた小柄なFWの動きに衝撃を受けた。当時はDF熊谷、MF宇津木がセンターバックだったが、「2人がビューンとやられて点をとられた」と鮮明な記憶が残っている。

 紅白戦から“ノリさん塾”まで練習のほとんどの時間を費やした必勝対策。「北朝鮮は若い選手が一貫して戦う良いチーム。出場停止があっても以前と遜色ない。11番(FWラ)の選手はスピードがあって質が高いが、大丈夫でしょう」。練習中は厳しい表情で声を張り上げた指揮官は、万全の態勢で決戦を迎える。