ピンチはチャンス! なでしこリーグの仙台レディースは明日23日、皇后杯準決勝神戸戦に臨む。左サイドバックで先発出場が濃厚なDF井手上麻子(28)は「私たちに失うものはない。自信も持てている。良い試合ができると思う」と闘志をあらわにした。

 初の決勝戦と初タイトルへの鍵を握る救世主だ。今大会は3回戦で日本代表DFの高良が、準々決勝ではDF万屋が相次いで負傷。高良はこの日から全体練習に合流し順調な回復ぶりを見せるが、チームは残り2戦を残し左サイドバック不在の窮地に立たされた。

 ここで白羽の矢が立ったのが井手上だ。九州の強豪・神村学園高、日体大を経て10年にはなでしこジャパンにも選出された経歴を持つ。19日の準々決勝では緊急出場にも安定したプレーで無失点に貢献した。攻撃的なポジションも経験があり、精度の高いクロスや長短そろったパスも武器になる。千葉監督は「チャンスがあれば攻撃にも絡んで欲しい。でもまずは守備。マッチアップする選手をしっかり抑えてもらえれば最高です」と期待する。

 相手、神戸の攻撃の起点になるMF川澄は、日体大の2つ上の先輩。プレースピードも技術も一級品の「崩しのプロ」との対戦には「胸を借りるつもりで、全力でやりたい」と意気込む。「自分が出たら、やってやるぞ! という気持ちはずっと持ち続けてきた。チームも個人もみんな優勝しか考えてない」と頼もしい。浦和撃破で加速した勢いに乗り、てっぺんまで行くしかない。【成田光季】