初めて8強入りした明徳義塾(高知)が、真っ向勝負で連覇を狙う星稜(石川)から金星獲得を狙う。サッカーの全国高校選手権は今日5日に準々決勝が行われる。野球の甲子園では松井秀喜の5打席連続敬遠で知られる“因縁カード”が、選手権で初めて実現。明徳義塾は、野球部に負けないぐらいサッカー部も強いとアピールすると意気込んだ。

 明徳義塾といえば、全国屈指の野球部の印象が強い。だが、DF西森剛(3年)はそんなイメージが広がっていることが悔しそうだ。4日、都内のグラウンドでの練習を終えて「野球部への意識がバリバリあります。野球部が強いことは分かってますけど、サッカー部の印象もつけたい」と、対抗心を隠さない。

 明徳義塾では2、3年生に野球部だけのクラスがあるなど野球部員は特別な存在と言っていい。西森は「明徳と言うと『野球が強いとこか』と。『明徳にサッカー部あんのや』と言われたことがある」と言い、そんな周囲の見方を「見返したい」と意気込んだ。夏の高校総体では16強進出。2年連続6度目の選手権では初の8強進出。連覇を狙う星稜との“因縁カード”を制すれば、サッカー部も強いという印象に変わる可能性はある。

 勝負は真っ向から挑む。主将のDF禹滉允(う・ふぁんゆん、3年)は「いつも通りに堂々と戦いたい」と誓った。星稜の試合は、3日に各務原との3回戦の前に数分間見ただけ。選手権では初対戦。地力では上回る前回王者に小細工は通用しないと分かっている。

 当時は生まれていない選手たちも、あの“5打席連続敬遠”のことは知っている。92年夏の甲子園では松井を徹底マークして勝った。西森は「昔の話ですし、意識はないです。誰かをキーマンとして集中してマークというのはしない」と笑う。ただ、こうも話した。「勝利にはこだわりたいです。当たり前ですけど」。勝機は見いだせると信じている。【上田悠太】

 ◆高知県勢の全国高校選手権8強 94回大会で3度目。過去には50年度の高知農と86年度の高知が進出した。明徳義塾が4強入りすれば、高知県勢としては50年度4強の高知農以来、65大会ぶりとなる。