仙台レディース(L)がリーグ再開戦を逆転勝ちして、4位から2位に浮上した。先制を許した仙台Lは前半28分、なでしこジャパンMF川村優理(27)が右CKを頭で合わせて同点。4分後の32分には、MF中野真奈美(30)が左足でゴールして、ホームで新潟を2-1と退けた。年に1度の開催地、石巻ではチーム創設の12年から5戦全勝となった。勝ち点を22に伸ばして残り6試合。勝ち点差7の首位日テレを追う。

 千葉泰伸監督(45)の故郷、被災地石巻でV戦線に残った。カップ戦のリーグ杯を含め、今季先制された9試合で2勝2分け5敗ともろかった仙台Lが劣勢をはね返した。負ければ首位日テレとの勝ち点差は10、引き分けでも同9と開き、残り6試合では優勝が厳しくなる。決勝ゴールの中野が実感を込めた。「苦しい試合でしたけど、勝ち点3が取れて良かったです」。

 大黒柱の川村が流れを変えた。先制された14分後の前半28分に同点弾。「早い時間帯に追いつけた」と振り返る。新潟のマークが少し離れてついていたため、CKを蹴る中野に、自身が位置したファーサイドに蹴るように頼んだ。そのボールを鮮やかに頭で押し込んだ。千葉監督は「川村の同点ゴールが一番大きい」と評価した。

 この日が東日本大震災からちょうど5年半になる。会場の石巻フットボール場の目の前に、仮設住宅がいまだに並んでいる。千葉監督は「まだまだ苦しんでいる人がいる。はっきり言って何もできないが、勝つことで少しでも笑顔にできるのではないか」と、ミーティングで選手に訴えた。中野は「あきらめない気持ちを、今まで以上に見せなきゃいけない」と、被災地への思いを胸に秘めて勝利につなげた。今季のホーム戦は9勝1分けと、不敗も守った。

 次節18日はアウェーで4位INAC神戸と対戦。来月8日の第16節では、日テレとの直接対決も控える。川村が「相手うんぬんよりも、自分たちのプレーができるか」と気を引き締めれば、中野は「順位とか関係なく、1試合ずつ勝ち点3を取ることを考えていきたい」と言った。約3カ月ぶりの逆転勝ちで勢いをつけて、仙台Lの反撃の秋が始まった。【久野朗】