プレーバック日刊スポーツ! 過去の9月20日付紙面を振り返ります。2004年の8面(東京版)はC大阪FW大久保がプロ入り初のハットトリックでした。

◇ ◇ ◇

<J1:C大阪3-0市原>◇19日◇長居ス

 C大阪のFW大久保嘉人(22)がプロ入り初のハットトリックを達成した。市原戦の前半31分、日本代表DF茶野を1トラップでかわした左足先制弾を皮切りに、頭、右足とチームの全3得点を決める大暴れ。ここ2戦5発の荒稼ぎで得点ランキングも6位まで浮上し、今年2月以来外れている日本代表復帰をアピールした。C大阪は今季2度目の完封勝ちで、最下位から脱出した。

 ハットトリックとなる右足弾がゴール左隅に吸い込まれると、市原DF陣がぼう然と立ち尽くした。プロ入り初の快挙を狙っていた後半13分。大久保がDF2人のすき間から、ニアを狙い澄まして突き刺した。「高校3年以来かな。うれしいですね」。五輪帰国後、調子を上げてきた背番号10がチームメートからモミクチャにされる。前半31分には日本代表DF茶野を1トラップでかわし、反転しての左足弾で先制。同36分には古橋からの右CKを頭で鮮やかに決めた。

 「今は違いますよ」。そう話したのは市原戦前。パラグアイ、イタリア、ガーナ相手に1次リーグで敗退したが、3戦2発と自信をつかんだアテネ五輪。「経験は大きいっすよね。今は本当に余裕をもってやれる。見えてるから。今から考えると、A代表の時は余裕がなかった。決めてやろうとばかり思ってて」。ここ2戦5発のうち、3得点までがインステップでピンポイントに狙ったもの。悔しかった五輪の経験を、きっちり進化に変えた。

 市原戦はデビュー以来ゴールがなく、昨季は4試合5警告など「振り切っても振り切ってもついてくる。Jで一番嫌なチーム」だった。しかし、この日は動きが違った。先制点を許したDF茶野も「切れがある。駆け引きでやられた」と脱帽。左に体重をかけ、瞬時にターンした大久保も「右足で打つと思ってたと思うので、左足で打った」と、笑顔を見せて言った。

 10月13日、W杯予選オマーン戦での代表復帰も現実味を帯びてきた。しかし、大久保は「ないっす。今の(代表)FW陣、みんな調子がいいから。これをきっかけに(チームと)勢いに乗りたい」。今オフに誓う海外移籍へ向けて、C大阪のJ1残留と上位進出を置き土産にするために戦う。

※記録と表記は当時のもの