前橋育英の山田耕介監督は、2年ぶりの決勝進出を果たした今年のチームについて「何をやっても、うまくいかない。チームもバラバラ…大変だった」と吐露した。

 7カ月前、チームは空中分解寸前だった。16年6月の高校総体群馬県大会初戦の4回戦で、常磐にまさかのPK負けを喫した。高校サッカー界の名門として、全国的に知られる前橋育英にとって、前代未聞の結果に“史上最弱”との声も出て、チームは混乱した。山田監督は「選手が何をやっていいか、分からなくなった。例えば、攻撃のコンビネーションって、どういうものがあるのか…2人のコンビネーションなら壁パス、スルーパスなど限られる。そういうタイミングを、ちゃんとやっていこうよと選手と話した」と当時を振り返った。

 話し合った上で、弱かったヘディングの強化に加え、そもそも各選手の体自体が弱かったので、体幹トレーニングを1日30分、全員で毎日やったという。「もう1回、チームをバラバラにしてスタートしようと始まった。でも、もともと個の力があった。光が見えてくれば、1人1人は悪くない」。1つ1つの練習を積み重ね、自信をつけたことで、選手の能力が発揮されたことが今回の決勝進出につながったと強調した。

 9日の決勝で戦う青森山田とは、8月に石川県で行われた第4回和倉ユース(U18)サッカー大会準々決勝で対戦し、0-0からのPK戦を2-1で制した。結果、同大会で優勝し、自信をつけたこともチームの再生につながったという。山田監督は「青森山田は今年のチャンピオン。日本一のチーム。全体的に気持ちが強いし、頑張れるし、テクニックもあり、鍛えられている。どこを突いていけばいいのか分析したい」と警戒を強めた。

 一方、5試合連続完封勝利で、無失点優勝に王手をかけた選手は強気だ。DF後藤田亘輝(2年)が風邪で発熱したため、右サイドバックで緊急先発した松田陸(同)は「青森山田は強豪だけれど、最後まで体を張れば無失点でいける。そうすれば負けることはない。(和倉ユース大会で)1回やったので、みんなで対策を話し合う」と言い切った。【村上幸将】