川崎フロンターレが浦和レッズを3-1で下し、クラブ初の4強進出へ前進した。日本代表のハリルホジッチ監督が見守る中、代表候補のFW小林悠(29)が2得点と躍動した。前半32分に先制点を奪い、痛恨のアウェーゴールを与えた後の後半40分にはダメ押しの3点目を決め、全3得点に絡む活躍でチームを救った。第2戦は9月13日に埼玉スタジアムで行われる。

 小林が全得点に絡み、エースで主将の役目を果たした。相手にアウェーゴールを与え、1点差となった難しい局面では、主将として仲間に「前を向け。やることを変えるな。チャンスがあったら取りに行くぞ」と鼓舞した。後半40分、MF家長のクロスを最後の力を振り絞りヘディング弾を決め、4強進出へチームを有利な状況へと導いた。

 前半32分には先制点を奪い、後半5分の追加点は自らのシュートのこぼれ球から生まれた。ハリルホジッチ監督の前で全得点に絡み「自分が決めるという強い意志を持って臨んだ。(3点目は)足がつったけど、しっかりジャンプできた。3点目は大きかった」と最後のアピールに成功した。

 主将としての責任感は人一倍だ。元日の天皇杯の決勝で鹿島に敗れ「練習から厳しさを求める部分の差が鹿島との差」と痛感した。守備でボールを取られたらすぐに奪い返す激しい球際が今季のチームコンセプト。今年4月、勝ちきれない時期には自らの声かけでミーティングを開き「練習からボールにいかない選手が浮くぐらいに、やらないと」と指摘した。この試合も苦しい時間帯で率先して激しくプレスをかけ続けた。「ちょっとでも力を余らせて終わらせたくない」と常日頃、口にする通り、攻守で全精力を出し切った。

 周囲もそうした普段からの努力を知るからこそ、認めている。1点目をアシストしたベテランMF中村は「悠(小林)が主将としてエースとして仕事をしてくれた」と目を細めた。9月13日にはクラブ初の4強をかけ、アウェーで浦和と再戦する。主将マークを巻く小林がチームを新たな歴史へと導く。【岩田千代巳】