松本山雅の反町康治監督(53)は、アウェーで東京ヴェルディに完勝して5位に浮上したことについて聞かれ「リーグのテーブル(順位表)は、邪念が出てくるので見ないようにしている。この1試合にかけて、分析から何から…ある意味、無心でやっている部分がある。選手も躍動感が出た」と強調。目前の試合に集中したことが、勝利につながったと語った。

 豊富な運動量でチェックしてくる東京VのMF梶川諒太と渡辺皓太を「第1の波」として、「超えれば第2の波(守備陣)と勝負できる」(反町監督)という判断でロングボールを蹴ることを増やした。それで前を向く機会が増えたMF工藤浩平(33)が、後半14分にダメ押しの2点目を決めた。東京Vを研究し尽くした上で生まれた、取るべくして取ったゴールだった。

 それでも、反町監督は表情を険しくした。「最近、チームのスタンダードが築き上げられてきて、それに過信せず自信を持ってやっている。そういう力を練習から導き出せるようにやっていきたい。勝っても反省点は、たくさんある。しっかり、もう1回ふんどしを締め直してやらないといけない」。16年は最終節を前に3位に転落し、自動昇格を逃したばかりか、昇格プレーオフ準決勝でファジアーノ岡山に敗れた。「昨年は追われる立場だった。追いに行く立場の強みが今、出ているんじゃないか?」とも語った。16年との違いを口にしつつ、失意のどん底に落ちた経験に裏打ちされた、さらなる厳しさを求めていく。【村上幸将】