川崎フロンターレが、エースのFW小林悠主将(30)のハットトリックなどで大宮アルディージャに5-0で快勝し、鹿島アントラーズをかわして逆転で初優勝を飾った。前身の富士通サッカー部時代を含めても、1部リーグでの優勝は初となる。

 川崎Fが、開始1分で先制した。DFエウシーニョ(28)が右からドリブルで前進し、DFをかわして中央にパス。そこに走り込んだMF阿部浩之(28)が、左足でゴール右に決めた。

 耐える時間が続いた大宮も、前半20分過ぎから徐々に押し返し始めた。前半23分、DF奥井諒(27)の右クロスをFWマテウス(23)がシュート。GKチョン・ソンリョン(32)が弾いたこぼれ球に、FWマルセロ・トスカーノ(32)が詰めたがゴールはならなかった。同39分には、奥井諒のロングキックに反応したマテウスが右サイドから抜け出し、DFを振り切り折り返したが、トスカーノのシュートはチョン・ソンリョンに防がれた。

 そして前半ロスタイム2分、川崎Fが追加点を挙げた。大宮DFのクリアミスを拾うと、MF家長昭博(31)が左サイド深い位置まで上がってマイナス方向にクロスを上げた。そこに飛び込んだ小林がヘッドをたたき込み、前半は川崎Fが2-0で折り返した。

 後半15分、川崎Fが試合を決定的にする3点目を決めた。阿部のパスをペナルティーエリア左手前で受けた家長が、切り込んでクロスを上げると、飛び込んだ小林が右足で押し込み、この日2ゴール目を決めた。さらに後半36分には小林が、PKを右足で決めてハットトリックを達成した。後半ロスタイム6分には、途中出場の長谷川竜也(29)がダメ押しの5点目を決めた。

 川崎Fの前身・富士通サッカー部は、1955年(昭30)に創部した。1992年にJFLに加盟し、1997年(平9)にプロ化しJリーグ準会員となり、川崎フロンターレと改称。現監督の鬼木達が鹿島から加入した98年にJ1参入決定戦に敗れ、翌99年にJ2に参戦して今年で18年。その間、J2では99、04年に優勝したが、J1は06、08、09年に、いずれも2位。ルヴァン杯も、前身のナビスコ杯含め00、07、09そして今季と4度準優勝。16年の天皇杯準優勝を含め、2位が8度。“シルバーコレクター”という、ありがたくない呼び名もついたが、ついに返上した。

 川崎Fが、富士通サッカー部創部から62年で、ついに日本の頂点に立った。鹿島アントラーズがジュビロ磐田と0-0で引き分けたとアナウンスされた等々力競技場には、川崎Fのチームカラー・ブルーのテープが飛び交った。歓声の中、03年に入団したMF中村憲剛(37)は、涙でチームメートと抱き合った。