ジュビロ磐田は、ホームで鹿島アントラーズに0-0で引き分けた。最終節に白星締めとはいかなかったが、昨季王者の連覇を阻止。名波浩監督(45)は「満足はできない。ただ、納得できるシーズンだった」と就任4年目の今季を総括した。目標の「得失点差±0」を上回る「+20」での6位フィニッシュ。ヤマハスタジアムは、チームの健闘をたたえるジュビロコールに包まれた。

 前半は前線からの連動した守備と、素早い出足で、セカンドボールをものにし続けた。首位の鹿島相手に1歩も引かなかった。後半は一転、鹿島のシュート10本に対して磐田は4本。何度も決定的な場面を作られたが、今季リーグ最少失点の壁は崩れなかった。

 MF中村俊輔(39)は「常勝軍団の鹿島よりも『前へ前へ』という気持ちが出せていた。それが今季に積み上げてきたものだし、先制パンチのように利いたと思う」。最終戦で記録した05年以降では年間最多となる14度目の無失点が、躍進を象徴していた。

 試合後のセレモニーでは、木村稔社長(63)が「来シーズンは更なる高みを目指して、名波浩監督の下で頑張っていきます」と指揮官の続投を発表。大歓声の中、名波監督も「お願いは1つです。来季も俺についてこい!」と宣言した。

 上位で戦える力は示した。それでも、DF大井健太郎ゲーム主将(33)は「(無失点だけでなく)もっと、勝ちにいける試合ができるように」と視線を上げた。5年目を迎える「名波ジュビロ」が目指す場所は、まだ先にある。【前田和哉】