アルビレックス新潟MF本間勲(36)が18年間の選手生活にピリオドを打った。新潟はセレッソ大阪に1-0。後半32分のMFホニのゴールで逃げ切った。来季J2降格が決まっている中、13年以来の4連勝をマーク。最下位18位を脱出して17位と、意地を見せてシーズンを終えた。本間勲は後半43分から途中出場。勝利の瞬間を味わって、有終の美を飾った。

 大声援に招かれるように、「ミスターアルビレックス」本間勲はピッチに入った。後半43分、ボールがサイドラインを割った直後、笛が鳴る。交代選手のMF山崎亮平(28)が、それまでDF小泉慶(22)がつけていた主将マークを、本間勲の左腕に巻いた。本間勲は小走りに、慣れ親しんだボランチの位置についた。

 新潟は後半32分、カウンターからホニが決めた1点を懸命に守っていた。「しっかり試合を締める。勝って終わらせる」。現役最後の試合という感傷はなかった。「しっかり前線にボールを送って、バランスを取る」。かつて新潟の要として、中盤の底に陣取っていた感覚が戻った。

 ロスタイムを入れて6分40秒間のプレー。ボールタッチは2度。ピッチに入って2分38秒後の1回目、その1分後の2回目と、いずれも相手のミスを前方にクリアしたものだった。持ち味の華麗なスルーパス、激しいボール奪取はなかった。

 それでも「自分らしくできたと思う」。派手さはなくてもチームのために、ひたむきに-。18年間貫いてきたものを最後の試合で凝縮させた。試合終了と同時に両手を上げて拍手。そこにチームメートが集まってくる。笑顔で代わる代わる抱き合った。

 03年のJ2優勝、J1昇格決定を知る最後の選手が、J2降格を機にユニホームを脱ぐ。今後は下部組織を含めたクラブスタッフに就任の予定。チームの再建を下支えする。試合後のセレモニーでは何度も声を詰まらせながら、「1年でJ1に戻ってきましょう」。選手、ファンの願いは、本間勲も第2の人生の最初の願いでもある。【斎藤慎一郎】