名古屋グランパスが1年でのJ1復帰を果たした。リーグ戦上位のため引き分け以上で昇格が決まる決勝で、アビスパ福岡と0-0。得点こそ奪えなかったが果敢に攻め続け、最後は全員で守りきった。就任1年目の風間八宏監督(56)の下、主将のFW佐藤寿人(35)らが一丸となり、初のJ2降格から1年でつかんだJ1切符。生まれ変わった名古屋が、来季は新風を吹き込む。

 試合終了のホイッスルが鳴ると、名古屋ベンチから一気に選手がピッチに駆けだした。いくつもできる歓喜の輪。主将のFW佐藤がJ1昇格PO優勝の盾を掲げ、喜びを爆発させた。

 「1年でJ1に上げる覚悟でやってきた。(今季広島からの移籍を)決断して良かった」

 昨年11月3日、初めてJ2に降格した。1年1カ月後に戦った決勝は、一進一退の攻防だった。前半13分に右CKからMF田口が頭で合わせてゴールネットを揺らしたが、直前のファウルでノーゴール。最後は1点が必要な福岡に攻め込まれたが全員で守り切った。

 2年ぶりに復帰するJ1には、万全の体制で臨む。複数年契約の風間監督は続投で「全幅の信頼を置いている」と小西社長。複数年契約の佐藤も残留する。今季途中に加入し攻撃の軸となったFWガブリエル・シャビエルとの交渉はこれからだが、名古屋に愛着を感じており残留は決定的。小西社長は「功労者は大切」と話しており、FW玉田とGK楢崎には延長オファーが出される見込みだ。

 中盤の軸のMF田口には昨季に続きJ1複数クラブが興味を示しており、去就は微妙だが、風間監督は「これからも敵のサポーターも見たいな、と思ってもらえるようなサッカーをしたい」とさらなる進化のビジョンを描く。1年で戻るJ1の舞台。生まれ変わった名古屋が、ここからさらに上昇する。【小杉舞】