清水エスパルスは鹿児島キャンプ最後の練習試合で、J2FC岐阜に4-1で勝利した。Jクラブとの対戦3度目にして初勝利を挙げ、25日のリーグ開幕戦・鹿島アントラーズ戦(アイスタ)への不安を払拭(ふっしょく)した。実戦に復帰したFWクリスラン(25)がPKで先制。さらに途中出場のFW鄭大世(33)は2得点をマークし、ポジション争いで両者1歩も引かない姿勢だ。

 リーグ開幕戦へ、ようやく明るい兆しが見えてきた。2本目の8分、MF竹内涼(26)がペナルティーエリア内で倒され、PKを獲得。2トップの一角で先発したクリスランが左足でゴール右隅に冷静に決め、先制した。右内転筋痛で離脱していた新助っ人は、復帰戦で移籍後“初得点”をマーク。「自分にとっても、チームにとっても大切な試合だった。いいプレーができて、内容も良かった」と納得の表情だった。

 1本目は相手の素早いプレスとパス回しに苦しみ、シュートは1本のみとチャンスを作れなかった。しかし2本目の前に、選手同士でポジションの修正を話し合い、近い距離感を保ってプレー。先制点で流れを引き寄せると、一気に攻め込んだ。

 黙々とアップを続けていた鄭は、2本目の24分にクリスランと交代で出場。同30分、MF石毛秀樹(23)の右CKに高い打点のヘディングで合わせて追加点を奪うと、気迫のこもった表情でチームメートとハイタッチ。3分後には、CKのこぼれ球からDFファン・ソッコ(28)が上げた左クロスに反応。体ごとゴールネットに投げ出すように、頭で押し込んだ。定位置を争うライバルのクリスランを意識し、複数得点を狙っていた。「今踏ん張らないと、開幕(スタメン)に間に合わない。どうしてもゴールが欲しかった」。前日7日の練習中に接触プレーで痛めた右太ももは痛みが残る状態だったが、強行出場。「競争相手がいる時が、一番成長する。キャンプで最後の最後に結果を出せてよかった」と話した。

 鹿児島キャンプでは、Jクラブ相手に3戦目にしてようやく初勝利を飾った。J3鹿児島戦(0-1)を「50点」、J1長崎戦(1-1)を「60点」と評価したヤン・ヨンソン監督(57)は「攻守でだんだんと良くなってきて、求めている形に間違いなく近づいている。80点はあげたい」と選手を評価した。開幕戦まで残り16日。最後の仕上げに取りかかる。【保坂恭子】