ワールドカップ(W杯)日本代表入りを狙うFW杉本健勇(25)が6試合ぶり弾を決め、セレッソ大阪が敵地ジュビロ磐田戦を1-1のドローに持ち込んだ。首位広島とは勝ち点9差に広がる5位だが、最低限の意地は見せた。

 磐田の激しい、速い攻めに立ち上がりから防戦。「なかなかシュートまで持っていくチャンスもなかった。1失点で耐えられてよかったぐらい」と杉本が振り返るほどの大劣勢。前半のシュート数は0、後半2本。苦戦を示す数字だが、その1本が杉本のPKだった。

 1点を追う後半11分、ペナルティーエリア内で強引に突破を図って倒された。「口で言うのは難しいけど、(ボールをセットする部分が)なんか盛り上がってて。めっちゃ慎重に蹴りましたよ」。自ら得たPKをゴール左隅に蹴りこむ同点弾。「(ゴールから)すごい遠ざかってたからね」。杉本にとって3月31日湘南戦以来6戦ぶりの今季3点目だ。

 MF山口が「負けなくてよかった」とつぶやく。前線はベストメンバーをそろえたが、受け身に回った。その中で杉本も「2点目を狙いたかったけど、守備に追われてなかなか前にいけなかった」。自陣の最終ラインまで守備に走った。尹晶煥監督は「連戦の中でのアウェーでの勝ち点1は貴重と考えたい」。負けない執念が詰まっていた。

 W杯ロシア大会の代表メンバー選考にアピールする場も限られてきた。杉本もゴールで存在感を示したいはずだが「チームの勝ちが最優先」と言い切る。連戦の影響も隠せないが「(動きが)重かったのは確か。でも相手も条件は同じ。そこで何ができるかが大事。プロなんで」。杉本の意識が勝ち点1をもたらした。【実藤健一】