川崎フロンターレが、柏レイソルから今季初の逆転勝利を挙げた。

 “もってる伏兵”がチームを救った。後半41分、今季J2モンテディオ山形から加入したMF鈴木雄斗(24)がJ1デビューとなるピッチに入った。右サイドバックでの出場だったが、1-1で迎えた後半ロスタイム、MF長谷川竜也(24)のクロスを頭で合わせ勝ち越し弾。FW小林悠(30)、MF家長昭博(31)らチームメートからもみくちゃにされ祝福を受け「5分しか出ていないので。やれることを全部やろうと。竜也(長谷川)とは練習から、オレがクロスを上げたら(長谷川を)狙うからという話をしていた。まさかの逆パターンでしたけど、竜也(長谷川)がすごくいいボールをくれた」と振り返った。

 鈴木は、川崎Fでの公式戦デビューとなった4月18日のアジア・チャンピオンズリーグの蔚山(韓国)戦で「初出場、初シュート、初得点」。今回、リーグ戦でも「初出場、初シュート、初得点」を挙げ「そういうキャラではないんですけど…」と苦笑し「すごくうれしかった」と話した。

 選手層の厚い川崎Fへの移籍を決めた際、ベンチに入るだけでも大変だという覚悟はしていた。覚悟の上だが、ベンチ外が続き心が折れかけたこともある。「少し前の練習から、このままじゃだめだと気持ちの変化があった。もっと自分の強みを出していかないとと。自分はサイズもあるしダイナミックなプレーが持ち味。そこが薄れていた」。鬼木監督から「シュートを打っていけ」「良さを出していけ」と言われたことも大きかったという。

 鬼木監督は「雄斗(鈴木)は練習から良かったし、得点力に期待していた。(途中から)入れようと思っていた。彼が入ったのは必然。期待に応えてくれた」とたたえた。この日は両親ら家族が観戦し、スタンドの家族に向かってガッツポーズした。だが、プロの世界の厳しさはよく分かっている。「結果が出てもここからが大事。もっと、こういう思いをしたい。もっと頑張ろうという気持ちになりました。この世界は点を取ってもすぐ次がくるし、次が悪ければすぐ評価変わるし。それは分かっている。こんなうれしいのも一瞬。明日も練習試合があるので」とすぐさま気持ちを切り替えていた。