伝統の早慶サッカー定期戦『早慶クラシコ』が、Jリーグを超えた。7日、神奈川県川崎市の等々力陸上競技場で開催された第69回大会に1万7872人の大観衆が詰め掛け、今季J1の1試合平均入場者数1万7634人を200人以上上回った。約半数は早大と慶大の学生やOBだったが、地元川崎市民など大学以外の大勢の観客がスタンドを埋めた。

 目下、ワールドカップ(W杯)ロシア大会が佳境を迎えている。前評判の低かった日本代表も決勝トーナメントに進出して人気が急上昇。西野朗監督は早大、同代表FW武藤嘉紀は慶大のOBでもある。そんな列島を包んだ“サッカー熱”の影響? とも思われたが、さにあらず。実は学生主体で大学スポーツ振興に取り組む一般社団法人ユニサカが、企画、運営を担当した効果なのだ。

 ユニサカは慶大、早大、東大など複数の大学の学生メンバーで構成されている。昨年も早慶クラシコの企画、運営を担当し、1万4500人の大観衆を集めた。今年は一気に2万人集客を目標に掲げ、競技場に隣接する広場に『クラシコパーク』を設け、ステージやブースで、ストリート、アート、社会問題などの分野で活躍している早慶の学生がパフォーマンスを披露。ここに集まった大勢の市民が夜の試合に流れた。

 ユニサカの原田圭代表理事(慶大4年)は「大学スポーツの価値を競技に携わる部内の人間だけにとどめるのではなく、本来スポーツとは程遠いコミュニティーにいる学生や、より多くの発信の機会を求める学生、さらに地域の人たちも巻き込んで、広く活用してもらう。そうすることで新しい交流が生まれて、大学という枠を超えてコミュニティーが広がっていくと考えています」と話す。

 Jリーグの試合のような大声援に背中を押されたのか、メインイベントの試合も白熱した。後半7分に先制された早大が、同10分と30分にFW武田太一の連続ゴールで逆転し、2-1で勝利を収めた。「ものすごい歓声でした。これだけの大観衆の中で試合をすることはあまりない。すごく大きなモチベーションになりました」と勝利の立役者の武田も、1万7000人を超える大観衆に感謝していた。【首藤正徳】