清水エスパルスユース(東海)が16年ぶり2度目の栄冠を手にした。

 大宮アルディージャユース(関東)を相手に前半12分、FW青島太一が左サイドからドリブルで切り込み、右足で先制ゴールを奪った。さらに前半アディショナルタイム、FW斉藤聖七がドリブルで持ち込み、右サイドのFW山崎稜介へ展開。再びゴール前へ走り込むと、山崎からの絶妙の折り返しボールに右足を振り抜き、追加点を挙げた。

 2点リードで折り返した後半は、大宮ユースの巧みなボール回しに守勢に回ったが、GK梅田透吾、身長189センチの大型センターバック監物拓歩らが懸命に走り、体を張った。最後まで集中力は切れず、前半の2ゴールをしっかり守り抜いて勝利した。

 ワールドカップ(W杯)日韓大会が行われた2002年以来、16年ぶり2度目の優勝だ。平岡宏章監督は「11日間で7試合、最後まで走り抜いてくれたおかげ」と選手たちを称えた。今回のチームは東海地区3位で辛うじて出場権を手にしたように、同監督は「史上最弱」と表現していた。それが一戦ごとに力をつけ、終わってみればダークホースの存在から日本一をつかみ取った。

 勝因は「リフレッシュ」だった。試合前日、練習は30分の軽い運動だけにした。後はフリー時間として選手は東京散策に出掛けるなど、リフレッシュの時間に充てた。真夏の大会、しかも気温が30度を超える日中に行われた。その上、連戦に次ぐ連戦。そういう状況を鑑み、あえて決戦前日は体を休めることに終始した。

 平岡監督は「自分も高校時代に国体などで優勝したこともありましたが、こういう時は練習するより、頭をリフレッシュすることが一番です」。同じく決勝に進出した2年前は「遊びすぎて(決勝は)敗れた」と苦笑したが、今回も「ラーメンだけは食べるな」と指示した以外、それぞれの過ごし方に注文をつけず。選手たちはボウリングや映画鑑賞で決戦に備え、その采配が的中した。

 この日も気温34・5度を記録する中で、前半からハードワークで主導権を握った。平岡監督が掲げるチームのテーマは、サッカーを楽しむことの「JOY」。大一番も楽しみ、見事に日本一に輝いた清水ユース。主将の斉藤は「すごい監督です」。試合後も選手たちは笑顔が絶えなかった。