北海道コンサドーレ札幌MFチャナティップ(25)がタイから駆けつけた援軍を力に大一番に臨む。28日、札幌・宮の沢で最終節サンフレッチェ広島戦(12月1日、札幌ドーム)へ向けて練習した。サッカーを教わった父コンポップさん(53)が来日。今季チームの躍進に貢献してきた、父仕込みの両足さばきを披露し、目の前でアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場を決める。

練習を終えたチャナティップの顔が緩んだ。タイから来日した父コンポップさんとの再会に笑顔を見せた。チームメートにあいさつして一緒に写真撮影する姿を、うれしそうに見つめた。白星でACL出場権を獲得する大一番、あさって12月1日広島戦。応援に駆けつける父のために誓った。「会えてうれしい。頑張るよ」。気合を入れた。

「タイのメッシ」の今があるのは、コンポップさんのおかげだ。経験者だった父に、4歳からサッカーを教えてもらった。利き足は右だったが「マラドーナのようになれ」と、左足でのプレーもたたき込まれ、両足を不自由なく使えるようになった。今季7ゴールは右足シュートが4点、左も2点。体勢や場所に応じてプレーを選択できるのは、親子での練習の成果だ。「子どもの時から他の子よりドリブルがうまかった。練習で両足使わせたのが良かったね」と、懐かしむコンポップさんは「勝ってACLに行ってほしい」と願う。

父の思いを息子も受け止める。15歳の時にもらった、地元寺院のお守りのネックレスは、今でも毎日肌身離さず大事にしている。無得点だった昨季、思い悩んで相談すると「思い切ってシュートしなさい」の言葉をもらった。今季のゴール数急増は、父のエールの影響も大きい。

2位広島には、開幕戦で敗れている。チャナティップは「チームは成長している。ポジションや役割を理解しているし、コンビネーションも良くなっている。ホームだから、うちの方が強いよね」。ACLはタイのムアントン時代に経験があるが、札幌からの出場こそ自身にとっては誇りとなる。異国の地での挑戦、2年目の集大成として、スタンドで見守る父のため、札幌サポーターのため、勝利につながるプレーを見せる。【保坂果那】

◆チャナティップの今季ゴール リーグ戦29試合に出場し7得点を挙げている。3月2日セレッソ大阪戦でのJリーグ初得点はヘディング。3月18日V・ファーレン長崎戦での決勝弾、8月1日同戦、同19日FC東京戦、10月20日湘南ベルマーレ戦の4ゴールは右足から生まれ、4月28日ベガルタ仙台戦と8月11日C大阪戦は左足でゴールを決めている。チャナティップが得点した試合の勝敗は3勝4分けで、チームは無敗。