昨季で引退したJ3・SC相模原の川口能活氏、横浜F・マリノスDF中沢佑二に続き、元日本代表でワールドカップ(W杯)4大会を経験した名古屋グランパスGK楢崎正剛(42)が8日、現役引退を発表した。J1歴代最多631試合出場の名手が、20年間所属した名古屋で、24年にわたる現役生活に区切りをつけた。今後は未定。11日に名古屋市内で引退会見を行う。名古屋時代の同僚だったオーストラリアAリーグ、メルボルン・ビクトリーMF本田圭佑(32)が、尊敬する先輩に熱いメッセージを送った。

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楢さんがどんなGKだったかと聞かれれば、プロには特に凄(すご)さが分かるGKだったと表現します。フリーキックの時もそうでしたが、対峙(たいじ)した相手に対して、常に冷静にプレッシャーを与えるあの能力が、楢さんの最大の特徴だったと考えています。

そしてあの冷静さが、味方全員にも絶妙な自信をもたらすことができるというのが、楢崎正剛の凄さだったと思います。

初めて楢さんに会ったのが僕が17歳で(星稜)高校2年生の時で、あれから15年たちます。今でも会うと「お前は俺の中ではまだ17歳」ってよくイジってきます。

でも、本当に当時からいろんな意味でめちゃくちゃだった僕を、どんな時でも包んでくれた、偉大な人格者です。僕にとってはお世話になった記憶しかない、恩師のような存在です。

楢さんが日本サッカーにもたらした凄さは、ここで簡単に説明できるような軽いものではありません。ワールドカップに4回も出場した事実が、全てだと思います。

今後は方法論は問わないので、引き続き、多くの人に勇気を与え続ける、これまで通りの楢さんで居続けてほしいと思っています。

自分の損得だけでは動かない、素晴らしいお手本でした。こう口で言うのは簡単ですけど、実際は、自分を犠牲にしないとできないような言動が多くて、それを実行し続ける姿を、人としてずっと尊敬しています。