全国高校サッカー選手権は今日12日、埼玉スタジアムで準決勝を迎える。準決勝以降では58大会ぶり2度目となる「東北ダービー」で、尚志(福島)は2大会ぶりのVを目指す青森山田と対戦する。虫垂炎の影響で先発を外れていたエースFW伊藤綾汰(3年)が満を持して先発復帰。Uー17日本代表FW染野唯月(2年)との最強2トップで、初の決勝進出を狙う。

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頼もしいエースが帰ってきた。昨季のプリンスリーグ東北で18試合15ゴールの得点王・伊藤が先発復帰する。この日の練習でもブランクを感じさせないキレのあるプレーを披露。「めちゃくちゃ調子いいです。少しでも長い時間プレーしたかったので、先発は本当にうれしい」と笑顔を見せた。準々決勝後に5日間、福島Jヴィレッジで行った調整合宿でも猛アピール。仲村浩二監督(46)は「青森山田相手に出し惜しみしている場合じゃない」とゴーサインを出した。

昨年12月5日の早朝練習前に下腹部に痛みが走った。虫垂炎と診断され5日間の入院。手術はせず投薬治療で痛みをとったが、体力の低下は明らかだった。今大会も全4試合途中出場。それでも1回戦の神村学園(鹿児島)戦では後半途中から出場し8分後に先制ゴールを決めるなど、ストライカーの嗅覚はさびついていなかった。2トップでコンビを組む染野も「綾汰君にボールを出せば決めてくれるし、自分にも最高のパスをくれる。本当に信頼できる人です」と頼もしい先輩の復帰を歓迎する。

青森山田のエースMF檀崎竜孔(3年)とは小学生時代、ベガルタ仙台下部組織のチームメートで、互いの家に遊びに行ったほどの仲良し。チームは分かれたがともに10番を背負う大黒柱に成長。対戦が決まった後にはラインで健闘を誓い合った。青森山田には1月の東北新人決勝で敗れているだけに「最高の舞台でリベンジしたい」と盟友対決に闘志を燃やした。【野上伸悟】