全国高校サッカー選手権は14日、埼玉スタジアムで決勝を迎える。昨年度大会決勝で後半ロスタイムに失点して敗れた流通経大柏(千葉)と、2年前に全国制覇を経験した青森山田が、ともに2度目の優勝をかけて戦う。

両校3年生に注目が集まる中、流通経大柏では指揮官も全幅の信頼を置く1年生コンビ、GK松原颯汰(そうた)とMF藤井海和(かいと)が必勝を誓った。両校は13日、ともに最終調整を行った。

今大会1失点と鉄壁の守備を誇る流通経大柏。鹿島内定DF関川の陰でチームを支えているのは、16歳と15歳の1年生コンビ、GK松原とMF藤井だ。

松原はJ2琉球入りするGK猪瀬を差し置いて、ゴールを守っている。入学前の昨年3月、正GKだった猪瀬のケガでAチームのサニックス杯に出場。その後は復帰した猪瀬とスタメンを争ってきたが、夏にはレギュラーに定着した。本田監督も「1年生ながら落ち着きがあり、1対1などの危ないシーンも防いでくれる」とほれ込む逸材だ。

はたから見るとバチバチのライバル関係にある2人だが、松原にお世話になった3年生は誰か? と聞くと「康介(猪瀬)さんです」と即答。いつも試合前には「自信を持ってプレーしろ」などアドバイスをくれ、選手権でも試合後「ナイスやったぞ、マツ!!」と背中をたたいてくれたという。「応援してくれているぶん、堂々と自信を持ってプレーしなければと思います」と話す。

ボランチの藤井は、本田監督が「チームに欠かせない存在。中盤で相手の攻撃を止めるカーテンになってくれる」と評する仕事人。入学当初はセンターバックで出場しており、当時コンビを組んでいたのが3年生DF西尾だった。自身の良さや特徴を発揮できるよう配慮してくれたといい「西尾さんがいたから自分の良さが出せて、今も試合に出られていると思う」。4月のデビュー戦で西尾から言われた「お前のやりたいようにやっていい」の言葉は、今に生きている。

頼もしい先輩たちに胸を借りて勝ち上がってきた。2人に共通する「3年生のために」という思い。昨年の決勝を観客として現地で見届けた藤井は「3年生にお世話になっているので、花を持たせて終わりたい。日本一が目の前にあるこの状況を手放したくはない。つかめるように、自分と松原で頑張りたいです」と力を込めた。【杉山理紗】