FC東京からスペイン1部の名門Rマドリードへの完全移籍が決まった日本代表MF久保建英(18)が29日、J1第17節東京-横浜戦後に行われた壮行セレモニーでサポーターに別れを告げた。19-20年シーズンはRマドリードのBチームでプレーする見通しも、プレシーズンはジネディーヌ・ジダン監督率いるトップチームの北米ツアー同行が予定されている。銀河系軍団と呼ばれる世界最高峰クラブを舞台に、久保のスペインでの“再挑戦”が始まる。

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雨が降りしきるスタジアムに18歳が姿を見せると、3万人を超えるサポーターから大きな歓声と拍手が起こった。昨季途中から期限付き移籍してプレーした横浜が対戦相手という巡り合わせ。横浜サポーターも大半がスタジアムに残った。両軍に見守られながらピッチ中央に置かれたマイクの前に立った久保は「えっと、まず…」と、東京ゴール裏に向けられたマイクを横浜側に変えた。

「半年間という短い時間でしたが、ここに立てているのは、マリノスにレンタルでいけたことに感謝しかありません」

横浜サポーターも「これからも応援してるぜ」の横断幕を用意。やりとりに東京からも拍手が起きた。

久保は東京側へマイクを戻した。15年、バルセロナ下部組織から加入し、プロ生活を歩み始めた。

「(帰国して)最初はあまり練習もいきたくなくてつらい時期もありましたけど、むさし(東京U-15むさし)のみんなが仲良くしてくれて、昇格してユースのみんなが仲良くしてくれて。トップの選手に助けてもらって、今の自分があると思っています」。決して口にしなかった、バルセロナからの帰国に対する悔しさ。救ってくれたクラブへの感謝を伝えた。

今季は主力として、クラブ記録となる開幕12戦無敗に大きく貢献。移籍前までに勝ち点33を積み上げ、首位を快走した。記念撮影と胴上げを終えたピッチからの去り際、深々と頭を下げた久保に惜しみない拍手がおくられた。

日本代表として参加した直近の南米選手権(ブラジル)でも抜群の存在感を発揮。チームは2分け1敗で1次リーグ敗退となったものの、得意のドリブルとパスは本気の南米勢相手でも十分に通用した。日本の約3年半で大きく成長し、ふたたびスペインへ渡る。

Rマドリードのトップチームは7月8日に集合。カナダでの合宿から米国で親善試合を3試合行う北米ツアーに出発する。久保は19-20年シーズンはBチームでプレーする見通しも、プレシーズンの同ツアーに同行する見通しだ。早ければ米国で、銀河系軍団と呼ばれるトップチームの選手との共演の可能性もある。前例のない、久保の新たな挑戦が始まる。【岡崎悠利】