少年男子県選抜が8年ぶりに優勝を果たし、令和初の国体王者に輝いた。決勝で広島に1-0。

後半20分、DF菊地修太(清水ユース1年)が値千金の決勝ゴールを決めた。近年は苦戦が続いていたが、サッカー王国復活に向けて大きな1歩を踏み出した。

   ◇   ◇   ◇

試合終了を告げる笛が響くと、選手たちの歓喜の輪が広がった。息詰まる接戦を制し、県サッカー界の悲願を達成した。

0-0の後半20分、菊地が試合を動かした。MF藤原健介(磐田U-181年)の左CKに飛び込むと、右足で押し込んでネットを揺らした。菊地は「先制点が大事だと思っていた」。勝負強く、試合通じて唯一のCKを決勝点につなげた。

昨年は初戦敗退に終わった。過去5年は5位が最高成績で、苦戦が続いていた。村下和之監督(42=沼津西高教)は「うまいだけでは戦えない。タフでたくましい選手を選んだ」。積極的な守備では、球際の強さを発揮。粘り強さが栄冠につながった。5日間で5試合を戦う過酷な日程を乗り切った。全試合フル出場した菊地は「サッカー王国と呼ばれながら、最近勝てずに悔しかった。うれしいです」と白い歯を見せた。

MF東廉主将(清水ユース2年)は、全5試合に先発出場。ユーティリティー性を高く評価され、大会中は複数のポジションで起用された。決勝もトップ下で先発し、後半途中からボランチへ。攻守にわたってチームをけん引した。「全員が最後まで走り抜き、戦い抜いた。団結力のあるチームだった」と振り返った。

全国舞台で最高の成績を残し、チームは解散する。村下監督は「チームが変わっていく姿を見られた。これが育成年代の醍醐味(だいごみ)。自チームに戻っても成長を続けてほしい」。指揮官から贈られた言葉を胸に、選手16人は次のステージに向かう。【古地真隆】

○…通算8得点のFW千葉寛汰(清水ユース1年)が、大会得点王に輝いた。1回戦から準決勝まで、4試合連続得点。2回戦の茨城戦(3-0)では、ハットトリックを達成した。決勝はゴールこそなかったが、惜しいシュートを放つなど、最前線で存在感を示した。「チームは試合を重ねるごとに自信を増していった。(得点王は)仲間のおかげです」と謙虚に振り返ったが、その得点能力は際立っていた。