北海道コンサドーレ札幌は名古屋グランパスを3-0で下し、リーグ戦5試合ぶりの勝ち点3を挙げた。前半35分、MF深井一希(24)が左CKを頭で合わせて今季リーグ戦1号をマーク。10月26日ルヴァン杯決勝川崎フロンターレ戦の後半ロスタイムに同点に追いついた1発の再現で先制し、快勝につなげた。順位は7位。3位以内のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)自力出場は消滅したが、3年連続のJ1残留を確定させた。

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お立ち台でほほ笑む札幌MF深井の姿に、サポーターも感激した。「ちょっと出来過ぎだけど、僕にマークがついてなかったので狙い通りでした」。今季リーグ戦初得点は、前半35分だった。DF福森の左CKに飛び込み、ヘディングシュート。ネットにズバッと突き刺さり、会場の熱量を一気に高めた。ルヴァン杯決勝で後半ロスタイム5分、ラストプレーで同点に追いついたゴールと同じ流れに、本人も驚きだった。

この日が今季リーグ戦出場29試合目と自己最多を更新した。時間も最長の2118分だ。両膝の手術を何度も乗り越え、ルヴァン杯決勝では延長120分を戦い抜き、この日もフル出場で貢献した。「去年1年間戦えたことで基礎体力が上がった」という自信、「ケガしている期間が長かった分、試合に全部出たい」という貪欲さが、プレーに現れている。カップ戦の悔しさから切り替えてプレーした90分は「やるしかないと思った。何としても勝ちたいと思った」と、勝利だけを目指した。

今夏J2・FC琉球へ移籍したMF小野伸二(40)から、別れの前にアドバイスをもらった。「もっと得点に絡んでいくようになれば、上に行けるよ」。深井が「日本代表とかってことだと思う」という“上”への成長を期待された言葉だ。もともとは世代別代表選手。ケガに泣いてきたが、やっとプレーに集中できるようになった今だからこそ、選手としてのランクアップを目指す時を迎えている。

チームは来季もJ1でのプレーが決まった。クラブ初の4年目。またACLやタイトル争いを目標に戦える。今季はまだ4試合ある。「練習から1人1人が高いモチベーションで」と、苦労を知る男に浮かれた様子はない。【保坂果那】

▽札幌ミハイロ・ペトロビッチ監督(62)(ルヴァン杯準優勝後の試合で5戦ぶり勝ち点3を手にし)「我々にとって非常に難しいゲームだった。何が何でも勝ってサポーターの思いに応えたかったし、札幌が決勝だけでなく、常にいい戦いができ、強いチームと証明する、という思いで選手たちは戦ってくれた」

◆札幌の最終順位 2日時点で勝ち点43の7位。残り4戦で勝ち点は最多55、最少43となり、順位は最高で4位、16位以下はなくなった。現在首位の鹿島アントラーズが3位以内に残り、天皇杯も制すれば、他力ながら札幌は4位でACL出場の可能性はある。下位争いは、17位松本山雅FC(勝ち点30)18位ジュビロ磐田(同25)は札幌以下が確定。14位名古屋(同33)15位サガン鳥栖(同32)16位湘南ベルマーレ(同31)は札幌を上回る可能性があるが、名古屋と鳥栖の直接対決があるため、どちらかが必ず札幌より下位になる。