ヴィッセル神戸の元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(35)が衝撃のアジアチャンピオンズリーグデビューを飾った。

芸術的な浮き球のロングパスで先制アシストを記録するなど3得点に絡み、ジョホール・ダルル・タクジム(JDT=マレーシア)に本拠地で5-1の大勝。主将は中3日の強行軍も、先発で88分間の全力ファイトを披露した。観戦した三木谷浩史会長(54)も「魔術師」と絶賛。ACL初出場初優勝へ最高のスタートを切った。

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ピッチの魔法使いが、未知の大会で衝撃のパスを連発させた。前半13分。最終ライン手前で球を保持したイニエスタが、ゴール左前方へ30メートル以上のロングパスを供給。斜めに走り込んだFW小川へ2バウンドでドンピシャの球が通る。神戸の記念すべきACL第1号ゴールが生まれた。

「神戸にはタイトルを取り、アジアで新たな挑戦をするために入団した。いい形で大会に入れたし、この調子で次もやりたい」

小川のハットトリック全てに絡んだ。2点目はスルーパスで起点となり、3点目はループ気味のクロスがアシストになった。記録上も2アシストを残し、三木谷会長は「みんな最初は硬かったけど、彼は魔術師だね」と絶賛。欧州CLをバルセロナで4度制した男は、5ゴールの大勝以上に印象を残した。

8日の富士ゼロックス・スーパー杯はベスト布陣で優勝を飾り、イニエスタもフル出場した。中3日のこの日は疲労の濃いMF山口をベンチ外にし、主戦の3バックから4バックに変更。20歳の郷家と21歳の安井を3列目に配置したが、2人の攻撃参加が多いために、トップ下のイニエスタが3列目に下がってカバー。神戸の生命線であるビルドアップ(攻撃の組み立て)に、多く顔を出したことで先制点が生まれた。

これで昨季から公式戦7連勝と勢いは止まらない。天皇杯、富士ゼロックス・スーパー杯に続き、ACL優勝を問われた主将は「まだ初戦を勝ったばかり。優勝を考えるのは早い。ただ1次リーグ突破へは大きな1歩になったかもしれない」。19日のACL第2戦は敵地水原戦で韓国へ向かう。23日のJ1開幕横浜FC戦まで過密日程は続く。この日も88分間プレーした主将は、それでも出場を前提に勝利を目指す。【横田和幸】

 

▽神戸FW小川(ハットトリックはすべてイニエスタのパスが絡み) 彼が球を持てばどんなパスも出せる。(1点目は)イメージ通りだが、改めてすごいと感じた。

▽神戸FW古橋 みんな天皇杯で優勝して自信を持っている。(得点の場面は、西からのパスを)トラップするより(直接)思い切って打ってみた。入っちゃったという感じ。

▽DF西(2点に絡むなど右サイドバックで好守に活躍) (郷家と安井は)ちょっと(前に)動きすぎ。あいつらも分かっていた。(基本の3バックから)4バックに変更してもあまり関係ない。

▽神戸MF郷家(今季公式戦初先発初出場) 最初は少し上がりすぎていたが(安井と)修正はできた。

▽神戸FWドウグラス(公式戦2戦連発) 神戸が勝つことが大事。個人的にもゴールだけじゃなく、すべてに貢献したい。

▽神戸DF酒井 うまく崩せた場面もあれば逆もあった。3-1になってから(左サイドバックとして)あまり攻め上がらないようにした。勝てたのがよかった。