J2アルビレックス新潟で今季からフィジカルコーチを務めるエウ・ガヴィラン・コーチ(29)は選手の体調管理、ケガ予防の指導を行う専門家で、チームに欠かせない存在。サッカーは90分の試合でボールを持たずにプレーする時間が圧倒的に多いスポーツ。ボール保持以外の場所で体をどう操るかが重要となる。J1昇格に重要な役割を担うガヴィラン・コーチに独自のプランを聞いた。

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-コーチの役割は

ガヴィラン ピッチ内でのフィジカル強化はもちろん、全体練習のほかにジムでのウエートや体幹トレーニングなどを毎週、各選手に用意しています。選手がいい状態で練習、試合に臨めるようにすることが一番の目的です。

-個別のプランとは

ガヴィラン 各選手の筋肉量のタイプを見極め、強化プランを提供しています。ボディービルダーを目指しているわけではなく、サッカーのプレーに必要な筋力の補強です。またケガで苦しむ選手へはケガの箇所周辺を補強するメニューを提供します。

-フィジカルトレーニングの目的は

ガヴィラン ピッチ内で起こりうる、さまざまな動作に対応できるバランスの良い体作りが重要です。アンバランスな筋力の付き方はケガにつながるので長所を伸ばすことより、短所を補うことを最優先にしています。

-日本人選手の特長は

ガヴィラン 筋肉は主にパワーを発揮する「遅筋」と、スピードを発揮する「速筋」という2種類が存在しますが、日本人は「速筋」が優れている選手の割合が高い。平均的に見ると瞬発力やスピードは海外選手よりも優れているので、短時間、短距離で爆発的な動作を活用できるような強化を進めています。

-新潟の選手の印象は

ガヴィラン みんな真面目に練習に取り組むので、仕事がしやすいです。

-ザスパクサツ群馬との開幕戦は3-0で快勝

ガヴィラン 開幕へ向けてのコンディション調整はある程度うまくいきました。でもシーズンは長い。公式戦8、9試合経過しないと判断できません。(Jリーグは)想定より試合展開のテンポが速く、驚いています。そこに合わせた調整、練習メニューを準備していきます。

-約3週間の中断期間の過ごし方と再開(18日・ファジアーノ岡山戦)に向けたプランは

ガヴィラン リーグ再開戦へ向けてピークを持っていくという調整は考えていません。1週間サイクルを3回繰り返す。あくまでいつも通り。特別なことはしませんよ。これは1年を通して同じことが言えます。試合に向け、いい準備を毎週行っていきます。

-新潟での生活は

ガヴィラン 温暖なスペイン南部の出身なので気温差には驚いています。練習中に雪が降ったのは初めてです。スペイン南部は今、24度ありますよ。日本料理はおいしいし、街並みが気に入っています。新潟の人々の温かさもうれしいです。【聞き手・小林忠】

◆エウ・ガヴィラン(Eugenio GAVILAN CASTILLA)1990年5月26日生まれ、スペイン・コルドバ出身。14年にコルドバCFアカデミーのアスレチックトレーナーでキャリアをスタートさせて以来、各カテゴリーのフィジカルコーチを務める。16-17年はスペインサッカー公認ライセンス、ACADEFサッカー指導者育成学校のメソッド科講師も務めた。19年はコルドバFCトップチームのケガ予防ストレングスアスレチックトレーナー・アカデミースポーツ科学エリアコーディネーターを務めた。20年より新潟のフィジカルコーチに就任。