なでしこリーグ1部、日テレ・ベレーザのMF籾木結花(24)が22日、米国女子サッカーリーグ(NWSL)のレインに完全移籍することを発表し、ウェブで会見を行った。

女子日本代表、なでしこジャパンの主力で、初の海外挑戦となる籾木は「難しい決断でした。もともと海外挑戦は夢見ていたことです。わくわくする気持ちと大きなチャレンジという意味では怖さもありますし、ひとつの言葉ではいいあらわせない感情でいます」と心境を語った。

今年3月に日本代表の一員として参加した米国遠征でのプレーがレイン関係者の目に留まり、オファーが届いたことも明かした。レインの社長や監督からは米国にいないプレースタイルであることなどを評価され、周囲のアタッカーを生かすプレーを期待する言葉をかけられたという。籾木は各国代表選手が集う米国女子リーグについて「世界トップのリーグと言えるぐらい魅力的なリーグだと思っています。自分は一番背が小さくて、足も遅くてパワーもない選手だと思うが、正反対だからこそ自分の個性が生かせると思うし、足りない部分もパワーアップできると思っています」と意気込んだ。

新型コロナウイルスの影響で日テレでの全体練習は休止中で、チームメートらには1人1人に電話をして自身の思いを伝えた。移籍交渉については「この1、2週間、1カ月弱の間の急展開だった」と明かし、「人生で1度あるかないかのチャンスがめぐってきたと思うので、これを逃すわけにはいかないと思って決めました」と話した。

移籍の意思決定において五輪延期の影響はなかったとも口にし「五輪の舞台に立てるチャンスがある中で、日本で調整する方がいいんじゃないかという声もありますし、その意見も理解できます。そうした要素も必要だなと思いつつも、米国遠征の3試合を終えて、もっと強くて速い相手とたくさん試合をして、日々そういうところでサッカーをしたいと思ったのが移籍の理由でした」と説明した。

籾木は24日にも渡米予定で、現地で約1週間の隔離期間を経て、最短で入国8日後からチームに合流できるという。レインには19年W杯フランス大会で得点王とMVPを獲得し、同年のFIFA女子最優秀選手にも輝いた米国代表MFミーガン・ラピノーも在籍している。籾木は昨年のW杯後、ラピノーがトランプ大統領に差別問題などで意見を発し、男女選手間の待遇差改善なども訴えるなど、一選手の枠を超えた活動を行っていることに感銘を受けたことを口にしており「(レインに)ラピノーがいるという話を聞いた時に、感覚的にそこにいくという答えが出ていたのかなと思いますし、(女子サッカーが)スポーツとして根付いている国に行き、日々の生活から学べることもあると考えているので、今から楽しみです」と話した。

籾木は日テレの下部組織出身で、16年から日テレの背番号10をつけるなど主力としてプレー。16、17、19年にはリーグのベストイレブンにも輝いた。日本代表としてもこれまで計31試合で10得点を挙げるなど活躍。19年W杯フランス大会にも出場していた。【松尾幸之介】