C大阪が大阪ダービーのアウェーでは03年7月13日以来、17年(11試合)ぶりの勝利を飾り、開幕2連勝とした。本来は相手サポーターの過度な重圧を受ける敵地戦。新型コロナウイルスの影響で無観客開催となった利点を生かし、FW奥埜博亮(30)とDF丸橋祐介(29)のゴールで、2-1と先行逃げ切り勝ちを収めた。

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勝利の瞬間、C大阪のベンチ前が大騒ぎだ。途中交代でベンチで見ていたFW都倉は「YES!」と大声で叫び、仲間と肘タッチをかわす。就任2年目のロティーナ監督は「PKを奪われ、苦しい戦いになったが勝てた」と絶賛した。

本来は爆音のようなG大阪サポーターの声が重圧を招いていた。敵将の宮本監督が「ホームの優位性を得られにくい」と心配していた通り、無観客では心理面はまったくの五分。昨年のJ1で最少失点だった堅守をベースに、前半途中からは主導権を握った。

会心の1発を放り込んだのはFW奥埜だ。前半終了間際、主将MF清武のパスに反応した左サイドのDF丸橋が中央へ。奥埜は左足で直接シュートを決めた。2点目は後半、DF丸橋の豪快ミドルで突き放した。

全2得点に絡んだ清武に、指揮官は「交代するまで素晴らしい仕事をした。いい効果をチームに与えてくれた」。奥埜は「全員でアイデアを共有してボール動かせた」と振り返った。

3月1日にGK永石の新型コロナウイルス感染が判明したが、全員で乗り越えてきた。この日は大阪市内からバスで会場入り。昨年までなら前日からホテルに宿泊していたが、感染対策で宿泊を避けた。

G大阪戦の敵地で最後に勝ったのは17年前。当時は西村監督が指揮し、エース大久保(現J2東京V)らが万博で2-0と制した。今回のパナスタでの勝利も初めて。作戦通りの先行逃げ切りで、無観客を味方にしたC大阪の完勝だった。【横田和幸】

◆大阪ダービー 大阪に本拠を置くG大阪とC大阪の戦い。95年5月の初対戦でC大阪が1-0で制し、この日でC大阪の通算11勝5分け23敗に。前回19年9月、C大阪が7年(9試合)ぶりの勝利で連敗を4で止めていた