セレッソ大阪が“ビリケン奥埜”の2戦連発で、7季ぶりの開幕3連勝を飾った。清水エスパルスとJ1再開後、初のホーム戦。0-0の後半26分、MF奥埜博亮(30)が先制ゴールを決め、後半40分に途中出場の片山瑛一(28)のJ1初ゴールで突き放し、2-0で快勝した。ベンチには、過去来場して負けなしの「幸運の神様」ビリケンさんが鎮座。似た容貌の奥埜の活躍で、不敗神話を8に伸ばした。唯一の開幕3連勝で首位に立った。

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ビリケンさんのパワーがその瞬間、奥埜に宿った。C大阪が圧倒的に攻めながら0-0。じりじりした展開。後半26分、中央に絞ったDF丸橋から奥埜へ絶妙パス。冷静に左足で先制のゴールをこじ開けた。

「FWで出ているんでゴール、アシストでチームに貢献しないといけない。前半からいい形で入っていたがミスが出ていた。(得点は)マル(丸橋)からいいボールが入った」

前節、ガンバ大阪との大阪ダービーに続く2戦連発。昨季、C大阪に移籍するまでは守備的MFが本職だったが、ロティーナ監督の下ですっかりストライカーとして覚醒した。チームは13年度以来、7季ぶりの開幕3連勝。開幕ダッシュに成功した中で、奥埜がしっかり大きな役割を担った。

後半38分、ベンチに下がった奥埜を迎えたのが「幸運の神様」ビリケンさんだった。「交代で下がったらベンチに座ってましたね」。約4年ぶりにC大阪のホーム戦に来場。過去7戦負けなしと「不敗神話」を誇っていた。その神がかったパワーを、どことなく風貌が似た奥埜が授かったのか。「自分もそういう役割ができればいいですね」と笑顔で話した。

ロティーナ監督はビリケンさんの存在を「アシスタントコーチが伝えてくれなかった。自分は何でも知っておかなければならない立場なのに罰金だね」とジョークを交えつつ、「少しの運を運んでくれたのだろう。今日の試合、何かあるのではと感じていた」。ベンチメンバーにビリケンさんを加えたC大阪は、唯一の開幕3連勝で首位。J1初Vへ好発進を決めた。【実藤健一】

◆ビリケンさん 庶民の味方として古くから世界中で愛されてきた「幸運の神様」。公式ホームページによると1908年に米国の女性芸術家が「夢の中で見た神様」をモデルに制作した作品が起源とされている。大阪には1911年(明44)に登場。通天閣にある像が有名で、ビリケンさんの足裏をなでると御利益があるとされてきた。C大阪のホーム戦に今回で8回来場し6勝2分けの無敗。