首位を独走する川崎フロンターレが因縁の相手へのリベンジを決め、同一シーズンの90分試合でのJ1連勝新記録となる11連勝を達成した。前半44分、MF三笘薫(23)の2試合連続となる今季11点目で先制。後半に2得点を加え、8月に11連勝を阻まれた名古屋に完勝した。2位C大阪との勝ち点差を17に広げ、2季ぶりVへ前進した。

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前人未到の景色にも、特別な感慨はなかった。新記録11連勝にも、川崎Fに喜びを爆発させる選手はいなかった。因縁の名古屋からの勝利が格別なのは間違いない。それでもいつも通りに健闘をたたえ合い、1万161人の観衆に感謝を伝えるべく場内を一周した。

試合も普段通りに進めた。名古屋の堅守を流れで崩せなくても焦れずに好機を待った。前半44分、右CKから最後はMF三笘が右足で合わせた。後半はDFジェジエウの初得点などで2点を追加。練習から重要視してきたセットプレーでの全3得点に、鬼木監督は「試合巧者なところが出せてきている」とうなずいた。

今季の成長ぶりの一端は試合後のロッカー室からも見て取れる。鬼木監督は「勝って喜ぶみたいなのは減ってきているかもしれない」と明かす。終わった結果より、次も勝つために-。その積み重ねで指揮官がスタッフと掲げてきた「名古屋を倒して11連勝」のひそかな合言葉を実現させた。

鬼木監督は「10連勝で満足せず11連勝に向かっていった選手に感謝している」とたたえ、続けた。「今のメンバーなら歴史をつくらないといけない。12、13(連勝)に強い気持ちで挑みたい」。首位を独走しながら連勝をさらに積み重ねた先にこそ、全員で見たい景色がある。【浜本卓也】

▽川崎F・DF谷口主将(新記録の11連勝)「素直にうれしい気持ちは強いですが試合は続いていくので、次の試合に向けて準備していく流れは変えずにやり続けていかないといけない」