川崎フロンターレが今季2敗目を喫した。MF中村憲剛(40)の今季限りでの引退発表後最初の試合で、北海道コンサドーレ札幌になすすべなく0-2で完敗した。中村は後半25分から出場したがほとんど見せ場なく終わり、更新中だったJ1連勝記録も12で止まった。

J史上最強との呼び声も高い、今季の川崎Fらしさは皆無だった。開始5分で何本も決定機を許し、ボールを保持したかと思えばパスミスを連発した。高い位置でプレッシャーをかけてボールを奪いに来る札幌に苦戦し、自慢のパスワークもほとんど生まれなかった。鬼木監督は「結果もそうだけど、ゲームとしていいものを見せられず悔しい。申し訳なく思っている」と、内容でも完敗を認めた。

チーム一筋18年目の精神的支柱で、直近の試合では決勝点を決めたMF中村が、翌1日に引退を表明した。事前のミーティングで選手に報告した際は、全員が泣いていたという。突然の発表に空回りしたのか、DF山根は「引退発表後の試合で負けられないと、みんなどこかで思っていたと思う」と明かし、鬼木監督も「体を動かすのは頭。フレッシュさはなかったし、多少なりとも(動揺が)あったかもしれない」と、影響を否定しなかった。

中村に花道を作ろうと、会場の雰囲気はできあがっていた。スタジアム周辺には無数ののぼりが立てられ、外周には背番号14にかけて「One Four(=14) KENGO」と書かれた段幕が掲げられた。途中出場時にはこの日一番の拍手が起こり、試合後アウェー席に一礼した中村へ、札幌サポーターからもあたたかい拍手がおくられた。

リーグ戦2位以上で出場できる天皇杯を含めても、中村と戦えるのは残り最大で10試合。次戦まで中10日と十分な立て直し期間を経て、まずは川崎Fらしさを取り戻す。【杉山理紗】