経営難のJ1サガン鳥栖は5日、佐賀県サッカー協会の福岡淳二郎会長(65)の新社長就任を発表した。この日の臨時株主総会と取締役会で承認され、オンライン会見で取材に応じた。11年5月に社長に就任した竹原稔社長(59)が、昨年12月19日のJ1最終戦後に退任を表明していた。

佐賀県出身の福岡新社長は、法大卒業後、3年間の商社勤務を経て小・中学校で教職に就いた。その傍ら、サッカー指導などにも携わってきたという。昨年12月、鳥栖社長就任の打診を受け「(佐賀県の)大きな財産をなくしてはいけない思いから引き受けた」と決断した。

だが、存続危機にも直面する経営の立て直しはいばらの道だ。19年度決算は元スペイン代表FWフェルナンドトーレス獲得など、巨額人件費による圧迫で約20億円の赤字を計上。さらに、20年度決算もコロナ禍の影響で約10億円の3期連続赤字となり、約10億円の債務超過となる見込み。

福岡新社長は今年の目標については「立て直しが厳しいことは重々分かっている。赤字を出さない。チームが存続し続けることを目指したい」と話した。今季予算については「入場料収入で昨年の50パーセントぐらい増し、広告料収入で昨年の1・5倍ぐらいを見込んでいる。人件費も昨年より減っています」と話した。だが、黒字化へは「具体策はありません」と言い、現段階で大口スポンサー獲得などのメドは立っていない。

J1開幕まで3週間。新社長を迎えた鳥栖が、コロナ禍で先行きが見通せない状況で困難に立ち向かう。【菊川光一】