名古屋グランパスの“神対応”に、SNS上などで称賛の声が相次いだ。

J1リーグの名古屋-ガンバ大阪戦(豊田スタジアム)が予定された3日、G大阪に新型コロナウイルス感染の陽性者が計5人出た影響で急きょ、試合の中止が決まった。試合開始予定が午後7時。その約1時間40分前にあたる同5時20分すぎの中止発表だった。

だが名古屋は、中止発表のわずか約15分後に「豊田スタジアムにてチケットをお持ちのお客様を対象に、急きょ公開練習を行うことになりました」と発表した。

この日午後6時の気温は9度前後。まだまだ寒い夜の時間帯に、昨季3位と2位による屈指の好カードを見るために、足を運んでいた多くのサポーターは「すばらしい試み」「神対応」などとSNS上に書き込んだ。

クラブ関係者によると、イタリア人のフィッカデンティ監督(53)の提案で迅速に動き、スタジアム側の協力を得られたことで公開練習を実施したという。チケットを持つ観客限定だったが、練習を見学してもチケットの払い戻しは可能。日々の名古屋の練習は一般非公開のために、クラブ側の“良心”に、心温まった人が続出したようだ。

名古屋は昨年7月、チーム内から新型コロナウイルス感染者を出したことで、サンフレッチェ広島戦(アウェー)の当日に試合が中止になった経験がある。今回のG大阪と同じ立場だからこそ、相手クラブやサポーターの思いに寄り添えたといえる。

愛知県に発出されていた国の緊急事態宣言が2月末をもって解除され、この日のG大阪戦からは会場の収容制限人数を、上限5000人から1万人へ緩和されていた。

昨季のJリーグで最多の観客動員を誇った名門クラブの名古屋。11年ぶりの優勝を目指す今季、サポーターとクラブがより距離を縮められた1日になったかもしれない。【横田和幸】