J1サガン鳥栖は名古屋グランパス対策が功を奏し、初黒星をつけた。

ここまでJ1記録の9試合連続無失点中で、失点が開幕戦のオウンゴールのみという鉄壁守備を誇る名古屋の堅守をいかに破るか…。難題ではあったが、金明輝監督(39)は試合後のオンライン取材で「プラン通りに遂行できたゲームだった」。好采配で勝利に導いた。

プランとしては「強固な個に対してどう対応するかがポイントの1つ、攻撃に関しては失点していないので『ダイレクト』というのも1つポイントにあった。(ボールを)ダイレクトに入れシュートする。ゴールは2つともダイレクトだったと思う」と金監督。攻略法が見事にはまった形だ。

1ゴール・1アシストのFW酒井宣福(28)は攻撃に関して「(ゴール前で)事故が起こるボールを意識した。早めのクロスを放り込むことをみんなが意識していた。1点目はそうだった」。前半6分、速い攻撃から、酒井の高速クロスをFW林大地(23)が勢いよく飛び込み頭で合わせたシーンに堅守崩しの対策が凝縮されていた。

守備面でも俊敏な林、酒井の2トップが前線のハイプレスで名古屋の機動力を封じた。「簡単に中のボランチを使わせず、ボールを外に回させることを意識した」と酒井。開幕から6試合連続無失点だった鳥栖も堅守が強み。終盤に1点を返されたが逃げ切りに成功した。

名古屋フィッカデンティ監督(53)は鳥栖時代の18年シーズン途中で解任され、コーチからの昇格で指揮を執ったのが金監督という因縁もあった。見応えのある心理戦の“師弟対決”となった。【菊川光一】