フランス1部マルセイユを退団し、浦和レッズに新加入したDF酒井宏樹(31)が14日、オンライン上で入団会見に参加した。柏時代の12年以来、9年ぶりのJリーグ復帰。現役バリバリの日本代表はなぜ古巣でなく、浦和を? 反対もあった中、決断した理由とは? 同じ右サイドバック(SB)には元日本代表DF西大伍がいるが共存共栄は? 全ての疑問をプレーで証明する。黄金期をほうふつとさせるタレントぞろいの布陣となった「浦和帝国」。目標のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)へ侵攻する。

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赤いユニホーム姿の酒井が、オンライン入団会見に登場した。「(ドイツの)ハノーバー、代表の練習着も赤。違和感はない。似合うようなプレーをピッチで示していきたい」。柏の酒井ではなく、浦和の酒井として日本に戻ってきた。マルセイユとの契約を1年残し、カタールワールドカップ(W杯)を来年に控えた中での異例のJ復帰。「ほとんどの人に反対された」と苦笑いした。

欧州、国内でも他クラブの選択肢はあったが「責任感や緊張感をもたらしてくれるクラブを探していた」。外国人枠だったマルセイユの退団の決め手は「僕がいなければダメだったかと言われると、それは? と僕は思っていた」。下部組織から育った柏は「大好きなクラブの1つ」と感謝の意を示しつつ「肩書はいったん捨てて、また0からやっていきたい」。代表に選ばれることも、二の次だったという。新たな酒井宏樹のストーリーを新天地で描きたかった。

主戦場の右サイドバックでは西との争いになる。それ以上に期待できることがシステムの多様性。ユーティリティー性が売りの西は戦術眼にたけ、ボランチもこなす。酒井はマルセイユ時代、オーバーエージ(OA)として参加する東京オリンピック(五輪)世代のU-24日本代表でも、3バックの経験がある。ロドリゲス監督も2人の共存を明言しており、さらなる相乗効果がうまれる。

柏時代に味わった“恐怖のサポーター”と勝利を分かち合う。「怖かったですよ」と笑いながら、「味方になることは心強いし、闘莉王さんや小野伸二さんがいたころとか、またそういう強い浦和レッズを見せられるように頑張りたい」。チーム合流は、東京五輪後。現在リーグ7位のチームは目標とするACL出場へ、これ以上ない補強を実現させた。ともに暑い夏を乗り切り、熱い声援を後押しに、「浦和帝国」はアジアの盟主へと返り咲く。【栗田尚樹】