コンサドーレ札幌が大分に2-0の完封勝利で、今季初のリーグ戦2連勝を飾った。MF金子拓郎(23)が前半9分に右足、同21分に左足で2得点を決めた。リーグ最多タイ12得点のFWアンデルソン・ロペス(27)の中国1部武漢移籍が決定的な状況で、エース不在を背番号9が払拭(ふっしょく)した。4試合負けなしで暫定10位に浮上した。

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前半、風上から攻め込む札幌が2点を奪った。決めたのは今季それまで3得点の金子だった。9分、DF福森からのロングパスを胸トラップし、利き足とは逆の右で流し込んで先制。21分にはDF田中駿、MFチャナティップとつながれたパスに、今度は得意の左足で決めた。ネットを揺らすと、ジャンピングガッツポーズを繰り出して喜んだ。「チームの勝利に貢献できたことはすごい良かった。個人的にも2点取れたことはすごい良かった」とうなずいた。

「金子ゾーン」から卒業した。2得点した2月27日開幕の横浜FC戦、前回得点の5月22日清水戦と、今季これまで全3得点は右斜め45度から左足で決めていたが、この日はどちらも中央付近からだった。「いろんな形から点を取れる方がいい」。得点パターンを限定せず、相手に脅威を与えられる選手になろうと、取り組んでいる。

特別指定選手だった日大時代含め、札幌で3季目。今季からエースストライカーナンバー「9」を背負う金子の、さらなる成長はチームに不可欠だ。チーム総得点25のうち、12点を稼いだロペス抜きで残りのシーズンを戦わなければならない。「そういう選手がいなくなることで得点力の低下と言われると思うが、ロペスがいなくなってもしっかり自分や他の選手も、チーム全員で点を取っていく力が札幌にはある」と言い切った。

すごみが増した金子の姿に、ペトロビッチ監督(63)には思わぬ悩みも飛び出した。冗談を交えながら「ここから夏の移籍期間が開く。彼がどこかに持って行かれないか心配をしないといけない」と笑った。エースに続く引き抜きは避けたい様子。信頼と評価が高い証しだ。

今季初のリーグ戦2連勝で、J1では初めて大分に勝利した。ルヴァン杯、天皇杯を含めた直近の公式戦8試合、リーグ戦でも4試合負けなしが続き、順調に勝ち点を重ねている。金子は「良い状態で乗り込んで勝利をつかめたら」と、次節アウェー鹿島戦に意気込んでいた。【保坂果那】

◆札幌の主な背番号9 98年21得点のエース・バルデスをはじめ、点取り屋のFWが着用してきた。00年に在籍したエメルソンは34試合31得点でJ1昇格に貢献。大分から01年に期限付き移籍したウィルは、24得点でJ1得点王に輝いた。98年W杯日本代表初ゴールを決めた中山雅史が、磐田から移籍後の10~12年まで背負った。近年では都倉賢(15~18年)、鈴木武蔵(19~20年途中)が着けている。

◆札幌の対大分成績 J1リーグでは7度目の対戦で今回が初勝利となった。初対戦の08年7月16日(札幌厚別)の0-0から昨季まで3分け3敗だった。J2リーグでは99~15年まで16試合7勝4分け5敗。

 

○…MFチャナティップは左膝負傷の影響で5月2日湘南戦以来、6試合ぶりのリーグ戦復帰となった。「久しぶりの実戦でまだ本調子ではなかった」と明かしたが、前半21分には金子の2点目をアシスト。後半22分に退くまで攻撃の起点として躍動した。負傷によってW杯アジア2次予選タイ代表の試合に参加できず、チームも15日に予選敗退が決まった。「残念な結果となったが仕方ない。もうけがをしないように集中してプレーしていきたい」と次戦を見据えた。