横浜F・マリノスは3日、急性心筋梗塞のため11年8月4日に亡くなった元日本代表DF松田直樹さんの逝去10年を迎えるにあたって、記者会見を行った。

95年に高卒で当時の横浜マリノスに加入後、16年間クラブでプレーした「ミスター・マリノス」。10年シーズンをもって戦力外となり、11年から当時JFLの松本山雅FCで新たな挑戦を始めたところだった。

松田さんは同年8月2日、クラブの練習中に急性心筋梗塞で倒れた。練習場にAED(自動体外式除細動器)はなく、松田さんは2日後に病院で亡くなった。日本代表としても活躍した松田さんの死は広くスポーツ界に影響を与え、その後のAEDの普及につながった。

横浜は松田さんの死後、代名詞でもあった「背番号3」を永久欠番としてきた。「松田さんの名前を利益につなげることはしない」との思いで、これまで背番号3のグッズ製作を控えてきたが、松田さんを知らない世代が増えてきたこともあり、10年の節目にユニホームを制作することに決めたという。

販売モデルのユニホームとプレーヤーズTシャツの2種類展開で、クラブは売上の利益全額を「#命つなぐアクション」などの活動費に充てる。「#命つなぐアクション」とは、心肺蘇生法の講習会やAEDの普及啓発事業のこと。19年に横浜が始めた取り組みだが、現在はJリーグ全体に広がっている。

会見に出席した松田さんの姉・真紀さんは、「サッカーを知ってもらいたい、楽しんでもらい、というのが直樹の思いでした。安心、安全な環境を守っていく、直樹と同じことを二度と起こしてはいけない、という思いで、『#命つなぐアクション』が始まりました。ユニホームの販売で、ホームタウンの子どもたちが安心、安全にサッカーができることを願っています」と話した。