おこしやす京都が、苦しみながら勝ち点3を手にした。

攻守に一体感を持って戦うFC徳島に苦しみ、0-0のまま試合は後半へ突入。一進一退の攻防が続く中、時間が進む。だが22分、徳島DF里出怜央がファウルで一発退場となった。数的優位となったおこしやす京都が、この時間帯から攻勢をかけた。

30分、こぼれ球を拾ったFW原一樹がMF清川流石(さすが)へつなぐ。清川は短くドリブルで右前へ運ぶと、右足でペナルティーエリア外から豪快なミドルシュートを放った。これがゴール右隅へ飛び込み、ついに均衡を破った。まさしく値千金の一撃となった。

さらに後半ロスタイム、相手クリアボールをゴール前で拾ったFW青戸翔が、相手選手を外して左足でシュートし、駄目押しとなる2点目を挙げた。

終盤の2得点は、どれも後半途中から出場した選手によってもたらされた。采配が的中した瀧原直彬監督は「しっかり結果を出せたことが一番。1点を取り、さらに2点目も取りにいったことが良かった」と攻めの姿勢が勝利につながったと強調した。

均衡を破るゴールを決めた清川はJ2愛媛FCを退団後、半年間は所属チームがなく浪人生活を送った。8月に「おこしやす」と京都に迎え入れられた男が、拾ってくれたチームへの恩返しとなる“サスガ”の得点。「時間帯からして、誰かが得点を取るしかなかった。勝てて良かった」と満面の笑みを浮かべ、「うちのチームは途中から出てくる選手のクオリティーが高い」と誇らしげに話した。

おこしやす京都は待望の勝ち点3を手にし、来季のJFL昇格へ最低条件となる2位以内へ、自力突破の可能性を残した。28日の最終日は、元日本代表の小倉隆史監督が率いるFC.ISE-SHIMA(三重)と対戦する。「失うものはないので勝利を勝ち取りにいきます」(瀧原監督)。ことしの天皇杯2回戦でサンフレッチェ広島から5得点した爆発力を、「レフティーモンスター」と恐れられた小倉監督の前でさく裂させる構えだ。